メモワールの胡散臭さ

メモワールの落とし穴はあやうい記憶の功罪—Another fake memoir rattles the publishing world | Books and the City
アメリカの出版業界には、「メモワール」というジャンルが存在する。


「メモワール」はいわゆる「回想録」で、自分の半生を自分自身の言葉で赤裸々に吐露するジャンルをそう呼ぶ。
95年にニューヨーク・ポスト紙が募集した「あなたのラブストーリーを聞かせて下さい」というコーナーで優秀賞を射止めたヘルマン&ローザ・ローゼンブラット夫妻(フロリダ在住のユダヤカップル)が、今年の2月、メモワール "The Angel at the Fence" を出版しようとしていた矢先、その中にナチスの収容所に関する嘘の逸話が含まれていることが、オプラ・ウィンフリーの番組がきっかけで公になり、出版中止となった。
「メモワール」と言っても所詮、個人の記憶に基づいているため、著者が嘘をついていても検証する手だてがない。今回はたまたま歴史的な事実と絡む部分だったので明るみに出たが、あまり信用して読むと騙されかねないことだけは確かだ。

ちなみに、この本、アマゾンではまだ予約可能なようだ。もっとも、注文したとしても手許に届くことは永遠にないけれど。

The Angel at the Fence

The Angel at the Fence