メモワールの胡散臭さ
⇒メモワールの落とし穴はあやうい記憶の功罪—Another fake memoir rattles the publishing world | Books and the City
アメリカの出版業界には、「メモワール」というジャンルが存在する。
- Mary Karr "The Liars' Club: A Memoir"
- メアリー・カー『うそつきくらぶ』
- Caroline Knapp "Drinking: A Love Story"
- キャロライン・ナップ『アルコール・ラヴァー―ある女性アルコール依存症者の告白』
- Kathryn Harrison "[isbn:978-0007659043:title]"
- キャスリン・ハリソン『キス (新潮文庫)』
- Frank McCourt "Angela's Ashes"
- フランク・マコート『アンジェラの灰 (上) (新潮文庫)』
- フランク・マコート『アンジェラの灰 (下) (新潮文庫)』
- Dave Pelzer "A Child Called 'It'"
- デイヴ・ペルザー『“It”と呼ばれた子 幼年期 (ヴィレッジブックス N ヘ 1-1)』
- デイヴ・ペルザー『“It”(それ)と呼ばれた子―指南編 許す勇気を生きる力に変えて (ヴィレッジブックス)』
- デイヴ・ペルザー『“It”(それ)と呼ばれた子―青春編 (ヴィレッジブックス)』
- Elizabeth Wurtzel "Prozac Nation: Young and Depressed in America - A Memoir"
- エリザベス・ワーツェル『私は「うつ依存症」の女―プロザック・コンプレックス』
- Augusten Burroughs "Running With Scissors"
- オーガステン・バロウズ『ハサミを持って突っ走る』
- David Sedaris "Naked"
- デビッド・セダリス『すっぱだか』
- Nuala O'Faolain "Are You Somebody?: The Accidental Memoir of a Dublin Woman"
- ヌーラ・オフェイロン『ダブリンに、たったひとり―55歳のメモワール』
「メモワール」はいわゆる「回想録」で、自分の半生を自分自身の言葉で赤裸々に吐露するジャンルをそう呼ぶ。
95年にニューヨーク・ポスト紙が募集した「あなたのラブストーリーを聞かせて下さい」というコーナーで優秀賞を射止めたヘルマン&ローザ・ローゼンブラット夫妻(フロリダ在住のユダヤ人カップル)が、今年の2月、メモワール "The Angel at the Fence" を出版しようとしていた矢先、その中にナチスの収容所に関する嘘の逸話が含まれていることが、オプラ・ウィンフリーの番組がきっかけで公になり、出版中止となった。
「メモワール」と言っても所詮、個人の記憶に基づいているため、著者が嘘をついていても検証する手だてがない。今回はたまたま歴史的な事実と絡む部分だったので明るみに出たが、あまり信用して読むと騙されかねないことだけは確かだ。
ちなみに、この本、アマゾンではまだ予約可能なようだ。もっとも、注文したとしても手許に届くことは永遠にないけれど。
- 作者: Herman Rosenblat
- 出版社/メーカー: Harper Thorsons
- 発売日: 2009/02/05
- メディア: ペーパーバック
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