市場の変相 - モハメド・エラリアン

市場の変相

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第6章 投資家のための行動計画


運用手段---パッシブかアクティブか

  1. 典型的なパッシブ運用はインデックスファンドであり、インデックスファンドは。"過去志向"である。つまり、「明日の世界」ではなく「昨日の世界」を見て運用する。そのうえ、「ファンダメンタル・インデックス」という新しい概念をめぐり、専門家の間で論争が起きている。個々の銘柄の時価総額を加重平均する従来型のインデックスファンドよりも、ファンダメンタル・インデックスのほうが投資家に利益をもたらす、という意見がある。こうなると、本来は中立的なインデックスファンドを構築する過程でバイアスがかかり、時とともに無視できない影響をもたらすかもしれない(ファンダメンタル・インデックスとは、時価総額に代えて株主資本やキャッシュフリーなどの「ファンダメンタル」な要素を加重平均して作成した株価指数のこと)。
  2. 一部のミューチュアルファンド(アメリカ型投資信託)は、いわゆる「オーバーレイ戦略」を採用してパッシブ運用型の株式ポジションを補完している。オーバーレイ戦略とは、中核となるパッシブ運用部分から切り離した別のポジションを築き、補完的なリターンを目指すものだ。これは以下で説明する概念につながる。つまり、べータとアルファを切り離す、言い換えれば「市場への投資が生み出すリターン」と「ファンドマネジャーの運用能力が生み出すリターン」を区別するという概念である。
  3. パッシブ運用や改良型インデックスファンドの議論をしているからといって、適切なアクティブ運用型ファンドが存在しないと言っているわけではない。むしろ、問題の核心はファンドマネジャーの発掘、評価、監視にある。
  4. 今アクティブ運用のファンドマネジャーを選ぶ際、「採用で誤る」よりも「不採用で誤る」ほうがマシである。簡単に言えば、特別な理由がない限り、パッシブ運用を減らすまでしてアクティブ運用のファンドマネジャーの採用に動いてはならない。近年、どのような種類の資産を運用しているかにかかわらず、アクティブ運用のファンドマネジャーの運用成績には劇的ともいえるほどのばらつきが出ているのだ。

ファンダメンタル・インデックスの一例としては 野村アセットマネジメント | 野村RAFI®日本株投信 | 商品 がある。