1Q84関連商品(?)バカ売れ

村上春樹の『1Q84』と作中に登場する本や音楽が売れに売れているらしい。
僕はまだこの小説を読んでいないので、嘴を挟むつもりはありません。

 村上春樹さんの長編小説『1Q84(いちきゅうはちよん)』(全2巻各1890円、新潮社)が驚異的なペースで売れている。「BOOK1」と「BOOK2」を合わせた発行部数は今月200万部を超え、いまだに勢いは衰えない。その余波で、村上さんの既刊が大幅に増刷となったほか、作中に登場した文学やクラシック曲までが突然売れ始めるという思わぬ経済効果も生み出した。出版不況のなか、突出したベストセラー『1Q84』現象を振り返る。(堀晃和)


 東京・神田神保町三省堂書店神保町本店では、村上さんの長編小説が発表されると、本を積み重ねた“タワー”ができた。『1Q84』が先行発売された5月27日に出現したタワーは、2日後の全国発売日には早くも“消滅”した。初回入荷の2巻計2千冊が完売するのに1週間もかからなかった。


 品薄の状態が続き、タワーが復活したのは今月上旬になってからで、売り場担当者は「こんなことは記憶にない」と驚く。都内の別の書店では「BOOK1」が発売直後の1日だけで725冊売れた。営業時間で割ると、55秒に1冊が売れた計算だ。


 読者の関心の高さは、発売前から伝わっていた。大手ネット書店のアマゾンジャパンは5月20日時点で、2巻計1万冊の予約注文があることを公表。発行元の新潮社では予約の殺到を受け、初版部数(20万、18万)を各5万部増刷した。文芸作品で数万部規模の事前増刷が決まるのは異例。今月1日には「BOOK1」が100万部を突破したが、「前代未聞といえる早さ」(新潮社)だった。


 爆発的なセールスの背景は何か。5年ぶりの長編に対する期待やエルサレム賞の受賞スピーチなど社会的関心の高まりに加え、出版ニュース社の清田義昭代表は「ハングリーマーケットを作ったことで読者の期待感が高まった」と説明する。


 出版社側は「内容を知らずに読みたい」という読者の声を受け、事前に内容を一切明かさなかった。この情報制限が出足の好調に結びついたようだが、その後の売れ行きについて、新潮社の広報担当者は「各巻50万部を超えたあたりから『1Q84』現象とも言うべき社会現象になったことが大きい」と説明する。


 16日の時点で、「BOOK1」は118万部(17刷)、「BOOK2」が96万部(同)。2巻とも100万部を突破するダブルミリオンは確実だ。書籍取次大手「トーハン」の週間ランキングでは総合部門で7週連続1位(14日時点)と独走中。清田代表は「文芸書は売れ筋商品があまりない状態。これが売れ筋だとなったら出版社や取次、書店が一点集中して販売促進に力を注ぐ。だからこれからもますます売れていくでしょう」と推測している。

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 ■人気は過去の著作にも波及


 人気は、過去の著作をはじめ作中の小説や音楽にも波及している。『ノルウェイの森』は6月以降、文庫が上下巻計63万部、単行本も計3万部を増刷。発行元の講談社によると、累計で約990万部となり、8月にも1千万部に達する見込み。


 新潮社は、『海辺のカフカ』(上下巻)など既刊文庫約20作品で計37万8千部を増刷した。


 タイトルのもとになったジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』。18日に早川書房から刊行された新訳には、3万3千冊の事前注文が殺到した。作中に登場したチェーホフの『サハリン島』。岩波文庫が平成17年に復刊したときは上下巻計3千部だったが、今年6月だけで計1万部を増刷した。


 モラビア(現在のチェコ)出身の作曲家、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」を収録したジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団のCDは、発売以来20年近くで6千枚だったのが、『1Q84』の刊行以降は1万2千枚の注文があり、オリコンチャートにも登場するヒットとなっている。


--7月22日7時56分配信 産経新聞