ファイテンの謎
ホームページを見てみると、ショップ情報がある。そこで、いちばん近くの直営店に行ってみた。直営店の人なら何か教えてくれるだろう。ネックレスを眺めていると、店員さんが自然に声をかけてきた。
「お探しのモデルがありますか?」
「いや、このネックレスがいいという話を聞いたので見に来たんですが、いろんな種類があるんですね」
「そうなんです。こっちが45センチ。こっちが55センチのモデルです」
「なんか、これをすると体が楽になるとか、疲れにくいとか聞いたし、野球選手がずいぶんたくさんつけてるみたいですけど、何がいいんですか?」
「アクアチタンというものが入っていて、痛みか緩和される、柔軟性かアップするというお客様からの評価をいただいています」
「それは......... どういう根拠があるんですか?」
「槻拠というのは、私たちでは、言えないんですか、そういう声があります」
「こっちのX50と書いてあるのは、どういう意味ですか?50倍の効果があるってことですか?」
「いえ、今までのモデルより、アクアチタンの含浸量と言いまして、含まれている割合が多いんです」
「そのほうが効果か高い?」
「"効果"は、私たちの方では言ってませんが、そういう声はいただいています」
うーん、なんとも遠回しな答えである。
腑に落ちていない、というのがわかったのだろう。店員さんが、「ちょっと実験してみましょうか」と、店の奥のほうから、高さ10センチくらいの分銅のような、おもりのようなものを取り出してきた。重さは4キログラムで、上方に指をひっかけるところがついている。
「これをまず、指一本で持ち上げてください」
と店員さんは涼しい顔で言う。やってみたが、かなり重く、指一本では無理だ、あげられない。指が痛い。
すると店員さんは、「ちょっと失礼しますね」と言って、ネックレスを手首のまわりに、ちょうどブレスレットのように巻き付けた。
「そのまま、もう一度おもりを持ち上げてみてください」
持ち上げてみた。すると...... なぜかおもりがずしりと楽にあがってしまったのだ!
「あれれ、さっきより軽い!」
すっかり驚いて固まっていると、店員さんは「これで実感していただけましたか?」とにっこり笑って言った。
まさか手品、ではないだろう。確かにおもりは軽くあがったのだ。催眠術でもかけられたのか?はたまた、自己暗示か?それとも、これこそネックレスの効果だというのだろうか!? 何なんだ、この不思議なネックレスは!
- 作者: 魔法の首輪研究会
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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