梓林太郎の英語力
梓林太郎の『殺人氷河』を読んでいたところ、著者のお粗末な英語力がこれ以上ないほど露呈している箇所に出くわした。
それは、ニュージーランドのクライストチャーチについて、大使館員が白鳥刑事に説明するセリフの中に見つかった。
「クライストチャーチは、カンタベリー平野の中央部で、北島のオークランド、ウェリントンに次ぐ大都市です。中心部には市のシンボルのカテドラル大聖堂があります。(以下略)」
「カテドラル大聖堂」とは奇妙な名前の大聖堂である。そもそも「カテドラル(cathedral)」の日本語訳が「大聖堂」なのだ。つまり、「カテドラル大聖堂」を英語に訳し直せば、"Cathedral Cathedral(大聖堂大聖堂)" である。いくらなんでも、これはおかしい。と思って、実際の名称を調べてみたところ、"ChristChurch Cathedral(クライストチャーチ大聖堂)" が正しい名称であることがわかった。
そもそも、英語を高校ぐらいまで勉強していれば「カテドラル(cathedral)=大聖堂」であることは、常識的に知っているはずであり、もう少し知識のある人は、大聖堂が「司教座を持つ教会」を意味することまで知っている。ところが、氏は「カテドラル大聖堂」と書いて何も変だと思わず、そのまま放置し、出版までしてしまった。編集者の責任もあるだろうが、これは、非常にお粗末なミスだと言わざるを得ないだろう。
- 作者: 梓林太郎
- 出版社/メーカー: 有楽出版社
- 発売日: 2010/01/15
- メディア: 新書
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