SENSE - Mr.Children

ようやく発売されたミスチルのニュー・アルバム『SENSE』を聴いた。今回は、ヘビロテは無いな、と思った。この落胆は『シフクノオト』以来だ。
原因はテンションの低い曲が多いこと。さらに、桜井の声の感じと、キーボードの調子がズレている箇所が多いように感じること。つまり桜井がもの悲しく歌っているのに、キーボードの調子は明るいのだ。そのため、聴いている途中でそのことばかりが気にかかり、醒めてしまう。嘘だと思うなら、MDR-CD900ST とかある程度のヘッドホンでじっくり聴いてみればいい。あとは、新境地と呼べるような新しさが感じられなかった。

  • 01. I
    冒頭から「もういいでしょう!?/これで終りにしよう」ってそんな声で言われても萎えるでしょ。この後の歌詞での声の重ね方もネガティブにしか響かない。アルバムの冒頭曲がこれか!?って感じ。
  • 02. 擬態
    メロディに明るさはあるが悲しみも帯びている。そして冒頭の歌詞は「ビハインドから始まった/今日も同じスコアに終わった/ディスカウントして山のように/積まれてゆく夢の遺灰だ」だ。萎えるでしょ。終盤の歌詞は前向きに変化するとは言え「血を流し それでも遠く伸びて」なのだ。尋常じゃない。
  • 07. ロザリータ
    この曲も明るくない。メロディが悲しい。「ロザリータ」って誰? もしかして、歌詞が完成する前、この部分は「ほーにゃーらーらー」って歌っていて、後から「ローザーリーター」に変更したってだけの話? そうじゃないと「ロザリータ」なんて名前、匿名として使わないだろう。それと「ローザーリーター」につけたメロディも、悲し過ぎてというか女々しく聞こえて、聴いていられない。
  • 08. 蒼
    この曲も明るくない。メロディが悲しい。口笛とキーボードを合わせて奏でるほどのメロディなのか?ひねりも何もないじゃないか。歌詞も悲しい。「自分の身の丈を知らされ」。そのあと「それでも手を伸ばし続ける」と歌詞は言っているが、メロディは正反対だ。
  • 10. ハル
    この曲も明るくない。歌詞の内容こそ明るいが、サビの最後のメロディが悲しい。「大空をとんでく」「風が流れていく」「緩やかに解かれていく」につけられたメロディだ。歌詞に見える明るさは「前向き」の明るさというよりも「諦め」の明るさのように感じる。「もうどうなったっていい」ってフレーズが決定的な証拠だ。
  • 11. Prelude
    サビで桜井が叫んでるので、曲に明るさが全く無いわけではないが、歌詞が頂けない。「悩んでいたことは、とりあえず棚の上」である。これでは、雰囲気が明るくなったと言い切れない。つまり、完全に吹っ切れた感じではなくモヤモヤとしてしまう。すっきりとしないのだ。
  • 12. Forever
    この曲も明るくない。まるで泣き言を聞いてるようだ。曲名をなんで Forever にしてしまったのか解らない。"Forever" は「そういえば」や「ともすれば」や「どうすれば」や「今思えば」と韻を踏んでいるのは解るが、この韻は安易すぎないか?よく練られているのか?


「04. I'm talking about Lovin'」と「06. ロックンロールは生きている」についても言いたいことはあるが、控えておこう。

このアルバムを聴き終わったら、誰でも「こんなテンションで大丈夫か?」って訊きたくなるよ、たぶん。




※筆者は『Everything』から『SENSE』までミスチルの全アルバムを聴いている。