ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 - ダニエル・ピンク

本書で紹介された書籍及びウェブサイトを掲載しておく。

第1部 「ハイ・コンセプト(新しいことを考え出す人)」の時代

1.なぜ、「右脳タイプ」が成功を約束されるのか
  • ベティ・エドワーズ『脳の右側で描け』(エルテ出版)--- 「描くというのは、実はそれほど難しいことではありません。問題は見ることなのです」
  • ロバート・オーンスタイン『右脳は天才?それとも野獣?』(朝日新聞社)--- 「思考の展開やトラウマからの脱却、自閉症の治療、その他いろいろな場面で右脳がカギとなる役割を果たしていると多くの著名な人々が書いている。右脳が我々を救ってくれる。右脳こそが創造性、魂だけでなく、目新しい料理のアイデアまでもが存在する場所なのである」
  • クリス・マクマナス『非対称の起源―偶然か、必然か(Right Hand, Left Hand)』(ブルーバックス)--- 「彼らの発する言葉は……正常ではありません。発話に音楽的なところ、つまり韻律がないのです。そのため、声の調子を上げ下げしたり、早口にしたり、ゆっくり話したり、大きな声や優しい声を使い分けたりして感情や強調を表すことができません。抑揚のない発話というのは、まるで電話の向こうで鳴っているコンピュータ制御の声のように聞こえるのです――」
  • アイザイア・バーリンハリネズミと狐――『戦争と平和』の歴史哲学』(岩波文庫)--- 「一般的に左脳は情報の分析を行ない、右脳は統合を得意とする。右脳はバラバラの要素を集め、そこから物事の全体像を認識する能力に特に優れている」
2.これからのビジネスマンを脅かす「3つの危機」
3.右脳が主役の「ハイ・コンセプト/ハイ・タッチ」時代へ
  • ダニエル・ゴールマン『EQ こころの知能指数』(講談社プラスアルファ文庫)--- IQテスト(SAT同様、純粋に左脳主導思考の能力を測定するもの)の結果の善し悪しが仕事の成功に影響する度合いは、四〜一〇%だった。

第2部 この「六つの感性」があなたの道をひらく

1.「機能」だけでなく「デザイン」
まとめ
  • コーヒー一杯でできる「問題解決」実践練習
    • ステファン・サグマイスター』--- (1)多少なりとも不満を感じている家財道具を一つ選ぶ (2)本や雑誌は持たず、紙とペンを持ってカフェへ行く。そして、コーヒーを一杯飲む間、思いついた悪いデザインのものを改良する方法を考える。 (3)不満な家財道具に関して考えつくアイデアやスケッチをそのままメーカーに送る。(グラフィックデザイン監督のステファン・サグマイスターからの引用。)
  • 「デザイン専門誌」に触れる
    • Dwell』--- 最も評価の高い住宅雑誌の一つ。
    • How』--- 主にグラフィックデザインに焦点を当てた雑誌。ビジエスに役立つアドバイスやおすすめの本の紹介が掲載されている。
    • ID』--- その年のベストデザインを選ぶ「デザイン・レビュー」を毎年行っている。
    • Metropolis』--- 特に建造物と資材をメインにすえた雑誌。
    • Nest』--- いつも奇抜な幅広い内容で楽しませてくれる季刊誌。
    • O Magazine』--- 人気司会者オプラ・ウィンフリーが出している雑誌。
    • Print』--- グラフィックデザインに関する雑誌。全米のグラフィックデザインを集めた便覧『Regional Design Annual』が有名。
    • Red Simple』--- この雑誌の論理は「日々の作業を明確にすることで、生活に本当の意味を与えてくれるものに焦点を絞れるようにする」こと。
  • 世界的デザイナー「カリム」のように
    • カリム・ラシッド』--- 世界で最も多才で、高い評価を得ているデザイナーのサイト。
  • 「自分のオリジナル」のモノをつくる
    • ナイキ』--- 自分に合った色やパターン、イメージでナイキのシューズをデザインできる
    • バンズ』--- 自分のオリジナル・スケート靴を作れる
    • fontifier』--- 自分の手書き文字で書体を作れるサービス。
  • 「愛着があるモノ」を点検
    • デザイン・コンティニュアム 』--- (1)それを見たり使ったりするとき、あなたは何を思うだろう? 昔の体験? それを使いこなすスキル? それを作った人? 人に話したい素敵な体験や思いが何かあるはずだ。(2)それは、あなたの五感にどのように働きかけるだろうか? 感覚に働きかけるいくつかの部分やデザインの特徴があることだろう。(3)それから受ける感覚の手がかりは、そのものに対する考えや感じ方とどのように結びついているのかを考えてみよう。あなたはその結びつき(情報や知識が感性に与える影響)に気づくだろうか?(デザイン・コンティニュアムの産業デザイン監督、ダン・ブフナーからの借用)
  • 買い物をする際のチェックポイント
  • 目に「保養」を
2.「議論」よりは「物語」
  • Mark Turner『The Literary Mind』--- 「語りによるイメージ作り、すなわち"物語"は、思考の根本的な道具である」
  • ドン・ノーマン『人を賢くする道具』(新曜社)--- 「物語には、形式的な意思決定の方法では忘れられがちな要素を的確に拾い上げる巧みな力がある」
  • ジョーゼフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄』(人文書院)--- 「時と文化を超え、あらゆる神話には同じ基本的な要素が、変わらぬ一般的な手法で盛り込まれている」
  • ロバート・マッキー『Story: Style, Structure, -Substance, and the Principles of Screenwriting』--- 「ビジネスマンには、物語に懐疑的な人が多い。だが、実際は、統計上の数字は真っ赤な嘘をでっち上げるために使われ、会計報告は虚飾まみれの嘘っぱちである場合が多い」
  • "2Brothers"の"Big Tatto Red"(赤ワイン)
まとめ
3.「個別」よりも「全体の調和」
まとめ
  • 「優れた交響曲」はいいぞ
  • 「五筆描き」にチャレンジ
    • エドワーズとボマイスラー』--- 調和力を伸ばす素晴らしい方法の一つは、絵の描き方を学ぶことである。ブライアン・ボマイスラー先生は、年に一二回、絵画教室を開いている。五日間のワークショップは十分に投資する価値がある。時間の取れない人は、ビデオや本を利用して欲しい。
    • 五筆描き』--- 根気はないけれど、好奇心はあるという人は、「五筆描き自画像」で遊んでみてはどうだろう。五つの線だけで自画像を描くのは、楽しいし、全体像をつかむエクササイズとしてもとても効果がある。
  • 「空白のスペース」を探す
  • バランス感覚を高める5冊の本
    • ウィリアム・ベンゾン『音楽する脳(Beethoven's Anvil: Music in Mind and Culture)』(角川書店)--- 脳が音楽をどのように処理しているかを調べた優れた本。特に、音楽が脳のすべての部分に対して、全体思考的・交響的に訴えかけてくる様子が説明されている。
    • フィリス・モリソン&フィリップ・モリソンおよびチャールズ&レイ・イームズ事務所『パワーズ オブ テン―宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅』(日本経済新聞出版社)--- フリップブック(ぱらぱらとページを送ると絵が動いて見えるしかけの本)。一ページに一枚の絵があり、それぞれの絵は前ページの絵よりも一〇倍近づいて見えるように描かれている。
    • ジョージ・レイコフ『レトリックと人生』(大修館書店)--- 思考プロセスとしての比喩を考えるのに最適。
    • Laboratorio De Creacion Maldeojo プロジェクト『No Waste』--- キューバの町かどで見かけた独創的な再利用品の数々を収めた写真集。
    • ジョージ・ネルソン『How to See: A Guide to Reading --Our Manmade Environment』--- 私たちをとりまく世界を批判的な目で見つめ、眼に見えるもの同士を関連づけ、人間の創造をより広い文脈で考えるための指南書。
4.「論理」ではなく「共感」
まとめ
  • 「エクマン博士の本」をひらく
  • 「持ち主はどんな人?」ゲーム
    • IDEOメソッドカード』--- 戦略の数々が説明されている。「共感」をデザイン・プロセスの中心に据えるためのそれらの戦略は、人類学、心理学、生体力学、およびその他の分野から得たもの。カードは、「学ぶ」「見る」「訊く」「試す」という共感のための手法を示す、四つの組に分かれている。各カードには、特定のテクニック(たとえば、「カメラ日記」とか「ボディーストーミング」とか)について、片面に写真、もう一方にはクライアントでの活用事例、という形で説明してある。
  • 相手の感情を読み取る練習
  • 自分自身をテストするウェブサイト
    • 『Empathy Quotient』--- サイモン・バロン=コーエンが考案した60の質問によってEQを測定し、「女脳」を持っているかを知ることができる。
    • 『Systemizing Quotient』--- 「男脳」(システム化指数)を測定するテスト。
    • Emotional Intelligence Quotient』--- ダニエル・ゴールマンが作成した10の質問からなるテスト。
    • Spot the Fake Smile』--- BBC制作の、20の質問からある10分間のテスト。ポール・エクマンの研究に基づく。
    • 『Mind in the Eyes Test』--- サイモン・バロン=コーエンによるもの。目だけを見て表情を当てる能力を測定する。
    • Mayer-Salovey-Caruso Emotional Intelligence Test』--- 現在利用できるEQテストの中で最も広く高い評価を得ているテスト。有料。
5.「まじめ」だけでなく「遊び心」
  • America's Army』--- アメリカ陸軍が開発・製造・販売のすべてを行っているゲーム。
  • ジョン・ポール・ジーWhat Video Games Have to Teach Us About Learning and Literacy(テレビゲームの学習と文盲率に与える影響から我々は何を学ぶべきか)』--- 「(テレビゲームは)学習の原理をうまく利用している。つまり、デザインや学習への動機づけを盛り込むことができるのだ。この学習の原理は、反復練習や基本を繰り返すだけの学習や、次から次へと学校をやめるまでテストを繰り返す今までの教育方法よりも良い」
  • ロバート・プロバイン『Laughter: A Scientific Investigation』--- 「ユーモアや笑いの鎮痛効果を支持する科学的研究結果は、数は多くないが、徐々に増えてきている」
まとめ
  • 「世界笑いの日」
  • マンガの「吹き出し」のセリフを考える
    • ロバート・マンコフ『The Naked Cartoonist』--- マンガの吹き出し部分を隠す。それから仲間に見せ、それぞれに吹き出しの中を考えてもらう、このエクササイズの参考として、また、ウィットに富んだマンガについて、より広く考えるための本。
    • ロバート・マンコフ編『The Complete Cartoons Of The New Yorker』--- ニューヨーカー誌に掲載された六万八六四七のマンガが収録されたCDつき。
  • 自分のユーモアを測る
    • 『ユーモアセンス多次元測定テスト』--- ジェームズ・ソーソンが考案したテスト。
  • 「発明」に取り組む
    • 遊びの中の発明(Invention at Play)』--- スミソニアン博物館の「遊びの中の発明」展を訪れてみるといい。これは「大人と子どもの遊び方と、科学やテクノロジーの分野で革新的なことを行なった人が用いた創造プロセスの間に、どんな類似点あるか」に焦点を当て、「発明の陰にある、遊び心あふれる心理的習慣の数々」を検討する展示だ。
  • 「右脳」ゲーム
    • 右脳ゲーム(Right Brain Game)』--- プレーヤーの右脳・左脳のどちらが優勢か調べるため、12のゲームを行う。
    • 右脳パラダイス(Right Brain Paradise)』--- 「かつてこれほど右脳を刺激するモバイル・ゲームはなかっただろう」と自ら称するゲーム。
  • 遊ぶの感性を高める「テレビゲーム」
    • Game Spot』--- 総合的なゲームサイト。
    • Game Talk』--- ゲーマーのためのオンラインコミュニティ
    • Game Zone』--- 総合的サイト。
    • Newsgaming』--- ゲームと政治的発言を扱っているサイト。
    • Open Directory Project, Video Games』--- あらゆる良いゲームサイトやウェブ上でできるオンラインゲームの膨大なリストがある。
    • There』--- 「オンライン・ゲートウェイ」を謳っている。
    • Wireless Gaming Review』--- 無線ゲーム、つまり携帯電話やその他の無線装置を使って楽しめるゲーム情報。
    • Women Gamers』--- 女性ゲーム愛好者のための最大のインターネット・ポータル・サイト。
    • Yahoo! Games』--- オンラインゲームの初心者に最適なサイト。
6.「モノ」よりも「生きがい」
  • ビクトール・フランクル夜と霧』--- 「人間のおもな関心事とは、喜びを得ることでも、痛みを避けることでもなく、自らの人生に意義を見出すことなのである」
  • アイアン・ミトロフ、エリザベス・デントン『A Spiritual Audit of Corporate America』--- 「ほとんどの経営幹部がほぼ同じように、精神性とは宗教ではなく、「人生に目的と意義を見出したいと願う基本的欲望」だと定義していた」
  • スペンサー・ジョンソンチーズはどこへ消えた?』--- 私は『チーズはどこへ消えた?』のメッセージに反対はしない。だが、この比喩には少々異議がある。「コンセプトの時代」になると(中略)私たちはもはや迷宮の中にはいない。迷路、というほうが比喩としては適切だと思う。
まとめ

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代