モチベーション3.0 - ダニエル・ピンク

本書で紹介された書籍及びウェブサイトを掲載しておく。

第1部 新しいオペレーティング・システム

第1章〈モチベーション2・0〉の盛衰
第2章 アメとムチが(たいてい)うまくいかない7つの理由
  • マーク・トウェイントム・ソーヤーの冒険』--- 「イギリスには、夏場に四頭立ての乗客用馬車を毎日三〇キロから五〇キロも走らせる、裕福な紳士がいる。相当な金がなければ、このような特権は行使できない。けれども、もしそれに対して金が支払われることになれば、それは仕事に変わる。そうなったら紳士たちは馬車を走らせたりはしないだろう」
第3章 タイプIとタイプX

第2部 〈モチベーション3・0〉3つの要素

第5章 マスタリー(熟達)

第3部 タイプIのツールキット

個人用ツールキット-モチベーションを目覚めさせる9つの戦略
お薦めの書籍 必読の15冊
  1. James P. Carse『Finite and Infinite Games』--- この本のなかで、宗教学者のカースは二種類のゲームについて述べている。一つは「限界のあるゲーム」で、これには勝者と終焉があり、目標は勝利することだ。もう一つは「限界のないゲーム」で、勝者は存在せず、ゲームに終わりはない。目標はプレイを続けることだ。カースによれば、職場や二元関係でわたしたちになじみの深い勝敗のあるゲームよりも、勝敗のないゲームのほうがはるかに深みがあり面白い、という。
  2. ジョフ・コルヴァン『究極の鍛錬』(サンマーク出版)--- 何かを得意とする人と、名人や達人と呼ばれる人のちがいは何なのだろうか?『フォーチュン』誌のコルヴァンが、その証拠を探し、三つの要素からなる答えを見つけた。一に訓練、二に訓練、三に訓練である。しかし、ただの訓練ではない。その秘訣は「意図的な訓練」だ。つまり、完璧を目指して反復する、精神的にも要求度の高い作業のことだ。面白いとは言えないかもしれないが間違いなく効果が上がる。
  3. M.チクセントミハイフロー体験 喜びの現象学』(世界思想社)--- 好きなことに真剣に取り組むというテーマを語る本といえば、「最適経験」について述べた画期的な本書をおいてほかにないだろう。自分の置かれている状況をコントロールできており、目的意識にあふれ、"ゾーン"にいるときに味わう高揚した気分について、本書は語る。さらに、たとえ面白みにまったく欠ける仕事でも、楽しみながらできる、やりがいのある課題へとどうしたら変えられるか、明らかにする。
  4. エドワード・L.デシ, リチャードフラスト『人を伸ばす力』(新曜社)--- 本書は一九九五年に、エドワード・デシらが一般の読者を対象にして自論を簡潔に紹介したものだ。明快で読みやすい文章で管理社会の限界を主張し、自らの画期的な実験の原点を説明し、人生の多様な領域において自律性をどのように促すべきか示した。
  5. キャロル S.ドゥエック『やればできる!」の研究』(草思社)--- スタンフォード大学教授のドゥエックは、何十年にも及ぶ研究の成果をわかりやすい二つの観念にまとめ上げた。人には二つの異なるマインドセット、つまり心のあり方があるとドゥエックは説く。「固定的なマインドセット」(訳注 邦訳書では「こちこちのマインドセット」)の人は、自分の才能は石に刻まれたかのごとく変わることがない、と考える。「発展的なマインドセット」(同「しなやかなマインドセット」)の人は、自分の才能は開発できると考える。固定的マインドセットは、あらゆる経験を「自らの能力を試す試練」とみなす。一方、発展的マインドセットは同じ経験を「向上する機会」とみなす。ドゥエックのメッセージは、発展的マインドセットで生きよう、という点に集約される。
  6. ジョシュア・フェリス『私たち崖っぷち』(河出書房新社)--- 暗いブラックユーモアが漂う本作品は、フェリスのデビュー作にあたる。士気を挫くタイプXの職場とその影響を描いた訓話とも言える。舞台となるシカゴの名もない広告代理店では、社員は実際に仕事をするよりも、無料で支給されるドーナツを胃袋に詰め込み、椅子を取り合うほうに時間を費やしている。その一方で、「お払い箱になる」ことをおそれている。
  7. Howard E. Gardner, Mihaly Csikszentmihalyi, William Damon『Good Work: When Excellence and Ethics Meet』--- 市場の力が情け容赦なく支配し、テクノロジーが光速の進化を遂げる時代に、「グッドワーク」など可能なのだろうか? 仕事の"ミッション"と"その要素"つまり「ベストプラクティス」と"アイデンティティ"の三点の基本事項を検討するだけで、それは可能になるという。本書は主に遺伝学とジャーナリズムの事例が中心だが、その洞察は、時代の変化に揉まれた多くの職業にあてはまるはずだ。著者らは引き続き、"グッドワーク"を体現する個人や組織を見つけようと努めている。
  8. マルコム・グラッドウェル『天才! 成功する人々の法則』(講談社)--- 説得力のある、巧みな語り口で、グラッドウェルは手際よく「自力のたたき上げ」という観念を打ち砕く。成功は、もっと複雑なものだとグラッドウェルは指摘する。大成功を収めた人々---カナダのアイスホッケー選手らから、ビル・ゲイツビートルズまで---には、文化やタイミング、人口統計、そして幸運といった、その分野で大家となるように後押しした優位な要因が、その背後に隠れていることが多いという。本書は自分のたどった道筋を再評価するきっかけとなるだろう。さらに、多くの人がこうした優位な要因を得られないために、持って生まれた人間の可能性がどれほど失われているのかと考えさせられる。
  9. ドリス・カーンズ・グッドウィン『リンカン』(中央公論新社)--- 本書は一般読者を対象にした歴史書で、エイブラハム・リンカーンがタイプIの模範的人物として紹介される。リンカーンは、法律と政治の知識に精通しようと必死に勉学に励んだという。また、信頼に足るライバルたちに、権力と自由裁量を与えた。さらに、高邁な目的に根ざしたリーダーシップのスタイルを培い、奴隷制を廃止し連邦を維持したのである。
  10. デイビッド・ハルバースタム栄光と狂気―オリンピックに憑かれた男たち』(TBSブリタニカ)--- 金銭的報酬も名声も約束されていないスポーツのために、測り知れないほどの肉体的痛みと極度の疲労に、男たちはどうして耐えられたのか。一九八四年のボートレースの代表選手選考について、著者が魅力的な語り口で綴った本書は、この疑問が中心となっている。本書からは、内発的動機づけのエネルギーを垣間見ることができる。
  11. アルフィ・コーン『報酬主義をこえて』(法政大学出版局)--- 教師の経験のあるアルフィ・コーンは、B・F・スキナーの「これをすればあれをあげよう」という交換条件つきの行動理論を、世間が無批判に受け入れているという事実に挑戦した。一九九三年に出版された本書は、学校、職場、個人の生活にわたり外発的動機づけが幅を利かせすぎていると避難し、これが取り除かれた魅力的な世界を描いている。
  12. John L., Jr. Parker『Once a Runner』--- 本書は一九七八年に初版が出され、熱心な読者の存在により版を重ねている。本書は小説だが、中長距離走者の心理を見事に考察している。大学生で一マイル走(約一六〇九メートル)の選手、クエントン・キャシディの話を通して、マスタリーに払う代償と、それが実現したときにマスタリーが生み出す興奮も理解できる。
  13. ティーヴン・プレスフィールド『やりとげる力』(筑摩書房)--- 本書は、創造の自由に立ちはだかる障害について明察し、何が重要なことに着手するときに生じる抵抗を克服するための勇気ある戦略を示している。マスタリーへ向かう道中で、景気づけの一杯を求めているなら、まさに本書がそれにあたる。
  14. リカルド・セムラー『セムラーイズム』(ソフトバンク)--- 多くの上司がコントロールマニアなのに対して、セムラーは最初の自律マニアかもしれない。彼は、ブラジルのセムコというメーカーを、一連の大胆な改革によって一変させた。ほとんどの役員をクビにし、肩書をなくし、三〇〇〇人の従業員に自分で勤務時間を決めさせ、重大な決断では全従業員に投票を認め、一部の従業員には自分で給与額を決めてもよいと認めた。その結果、セムラーの指揮のもと(あるいは無指揮のもとで)、同社はこれまで二〇年にわたり、年間二〇%の成長を続けている。因習を打破するこの効果的な哲学を、彼がどのように実行したか、本書と最新刊で明らかにされる。
  15. ピーター・M.センゲ『最強組織の法則』(徳間書店)--- 本書は、マネジメントに関するセンゲの名著で、「ラーニング・オーガニゼーション(学習する組織)」について紹介している。このような組織では、自律的思考や将来のビジョンの共有が奨励されるだけでなく、組織の健全性のためには欠かせないと考えられている。センゲの「五つのディシプリン(規律)」は、タイプIを目指す組織に役立つ指針を示す。
グルに聞く-ビジネスの本質を見抜いた6人の識者
  1. ダグラス・マグレガー
  2. ピーター・F・ドラッカー
  3. ジェームズ・コリンズ
  4. カーリー・レスラーとジョディ・トンプソン
  5. ゲイリー・ハメル
フィットネスプラン 運動へのモチベーションを生み出す(そして持続させる)ための4つのアドバイス
ディスカッションに役立つ20の質問

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

目次
訳者まえがき 停滞を打破する新発想〈モチベーション3・0〉 大前研一
はじめに ハリー・ハーロウとエドワード・デシの直面した謎
第1部 新しいオペレーティング・システム
・第1章 〈モチベーション2・0〉の盛衰
機能しなくなった〈モチベーション〉
アメとムチの勝利
互換性に関する3つの問題
・第2章 アメとムチが(たいてい)うまくいかない7つの理由
〈モチベーション2・0〉に発生したバグ
期待以下の効果
望まないことを増やす
・第2章の補章 アメとムチがうまくいく特殊な状況
・第3章 タイプIとタイプX
「やる気!」研究の新しい流れ/アルファベットの力/タイプIとタイプX
第2部 〈モチベーション3・0〉3つの要素
・第4章 自律性〈オートノミー
自由に好きなように仕事をする
プレーヤーか、それとも駒か
4つの基本的要素
自律性を養う術
・第5章 マスタリー(熟達)
もっとよい生き方を求めて
従順から積極的な関与へ
貨物船のゴルディロックス
マスタリーの3つの法則
・第6章 目的
人生の意義が問われる時代
目的という動機
充実した人生とは
第3部 タイプIのツールキット
・個人用ツールキット モチベーションを目覚めさせる9つの戦略
・組織用ツールキット 会社、職場、グループ能力を向上させる9つの方法
・報酬の禅的技法 タイプI式の報酬
・保護者や教育者用ツールキット 子どもを助ける9つのアイデア
・お薦めの書籍 必読の15冊
・グルに聞く ビジネスの本質を見抜いた6人の識者
・フィットネスプラン 運動へのモチベーションを生み出す(そして持続させる)ための4つのアドバイス
・本書の概要
・ディスカッションに役立つ20の質問
・自分自身とこのテーマを、さらに掘り下げるために
謝辞