反直感的な書籍が増えている理由
Clive Thompson 氏が Wired 誌に寄せた記事 "Clive Thompson on the Hidden Truth of Counterintuition" によれば、最近、「あなたの知っていることは全部間違っている」的な、反直感的な書籍が増えているという。具体的な例でいうと以下の通りだ。
- ジョフ・コルヴァン『究極の鍛錬』(サンマーク出版)--- 才能について
- ダン・アリエリー『不合理だからすべてがうまくいく』(早川書房)--- 意思決定について
- ダニエル・ピンク『モチベーション3.0』(講談社)--- 動機づけについて
- デイヴィッド・ブルックス『人生の科学』(早川書房)--- パーソナリティについて
こういった書籍が増えている理由を Thompson 氏は著者の側からではなく読者の側から読み解く。人生とは、本質的に複雑であり、人を混乱させるものだ。われわれは他人の行動様式に当惑するし、世の中の動き方にも困惑する。だからこそ、科学の権威の加勢を得つつ、暗黒面を照らし出すのだと主張する作家を信じてしまうだけの準備が、われわれ読者にはできているのだ、と。
あるいは、と氏は述べる。何年も前に David Shenk 氏が称した「データ・スモッグ」なるものの副作用かもしれない、と。これまで広まってきた研究のおこぼれや事実のようなものに触れながら人々が暮らしているとき、そうしたものが逆説的にだんだんと人をして実際に信ずるものから錨を引っこ抜かしめているのかもしれない---そうして人は何でも彼でも吸収するようになるわけだ。
同じタイプの書籍は他にもある。
- Jason Jennings『The Reinventors』
- スティーブン・R・コヴィー『第3の案』(キングベアー出版)
- ダグラス・コナン『リーダーの本当の仕事とは何か』(ダイヤモンド社)
- Rick Barrera『Overpromise and Overdeliver』
- Tony Schwartz『The Way We're Working Isn't Working』
- Laurence G. Weinzimmer『The Wisdom of Failure』
- Eli Broad『Lessons in Unconventional Thinking』
- J. Keith Murnighan『Do Nothing』
The Way We're Working Isn't Working