戦わずして勝つ

マーク・マクニーリィ氏が Fast Company に寄稿した記事 ""The Princess Bride" And The Man In Black's Lessons In Competitive Strategy" は、鈴木博毅が『「超」入門 失敗の本質』で解説していた「戦略」に近い内容だ。

この記事でマクニーリィ氏は、ビジネスで競争相手を出し抜く最善の方法は孫氏の兵法の「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」であるとし、この戦略が映画『プリンセス・ブライド・ストーリー』(1987年)の中で具体的に例示されていると述べている。

主人公 Westley は、勝負に先立って自身の体を常にアイオケイン・パウダー(=架空の毒物)に晒し免疫をつけておいた。その上で、敵との勝負の条件にこの毒物を含めた。果たして、Westley はどちらの盃を手にしようと関係なく、どちらに転ぼうとも勝負に勝つことができたのだ。

翻って企業に目を向ければ、この原則をビジネスに適用した企業こそが過酷な競争のなかで勝ち抜き、市場シェアを手中にしていることがわかる。それは、繰り広げられている競争に目を向け、かつ、その競争の諸条件を仕切り直したその秘訣によるものだ。

例えば、シルク・ド・ソレイユは、伝統的なサーカス団を相手に昔ながらのやり方で興行して競うのを避けることで、競争を勝ち抜いた。代わりに競争の条件に変更を加えた。動物を排除し、観客に焦点を合わせるべくリングの数を3つから1つに減らし、ドタバタ性を芸術性に置き換え、パフォーマンスを一つのテーマ(かなり劇場風)を中心にして組み立てたのだ。その過程で、シルク・ド・ソレイユは誰もマネのできない全く新しい体験を創りあげた---そして健全な成長を享受し、結果として利益をものにしたのだ。

マクリーニィ氏はこの他にポータルサイトから検索エンジンに鞍替えした Google や、今だかつて誰も味わったことのないコンテンツや性能、使い勝手の良さを持つ洗練されたデザインの製品を提供した Apple の例をあげている。

ビジネスに活かす「孫子の兵法」―経営者が身に付けるべき6つの戦略

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