そんな櫻井和寿の詞癖

アルバムも発表しないのにツアーを組むという不思議な活動を繰り広げるMr.Childrenが、最近、小林武史のプロデュースから離れると話題になっている。先だって、彼らの出演する回の『SONGS』(NHK)が、地震により延期になっていたが、昨日ようやく放送された。

番組内で演奏された新曲(『足音〜Be Strong』、『Melody』、『放たれる』)を視聴していて気になったことがある。歌詞の癖だ。「気になった」というより、「気になってしまった」という方が正しい。

とにかく「そんな」が多用されているのだ。

まず、『足音〜Be Strong』から。

  • 舗装された道を選んで歩いていくだけ/そんな日々だけど
次に『Melody』。
  • 見飽きたこの街が/クリスマスみたいに光る/そんな瞬間/今日も僕は探してる
  • 突然の夕立に/木々が濡れて光る/そんな瞬間
最後に『放たれる』。
  • まるで大きなものに守られている/そんな安らぎを感じる
判で押したように「そんな」を含む詞ばかり書くソングライターってどうなんだろう。それについてファンは何も思わないのだろうか。
特に、『Melody』の「そんな瞬間/今日も僕は探してる」は、15年前のアルバム曲『ラララ』(『DISCOVERY』<1999>所収)の歌詞(「そんなLa La La/探してる」)を思い出させずにはおかない。昔の自曲の歌詞を繰り返すというのは、言ってしまえば、イタリアの画家ジョルジョ・デ・キリコの画歴を彷彿とさせるものがある。

メロディーが強ければそれほど詞にばかり目は行かないのかも知れない。しかし新曲のメロディーは今までの曲に較べて弱い(感じがする)。その分、自然と歌詞に目が行くとも言える。やはり、小林のプロデュースが消えたことで、櫻井のメロディーがわりかし素のままで出た新曲なのかも知れない。

今やCDが売れる時代ではないのは判っているし、「33種」のCDをリリースしたSexy Zoneに1位の座を譲ったのは致し方ない気もする。が、それでもおおよそ20年間続いて来た記録(オリコン週間ランキング初登場1位)が途切れたことに、意味を感じずにはいられない。

[2014.12.11追記]
櫻井は、意図的に「アルバムからツアーへ」というパターンを崩してるようだ。

櫻井: 毎回、CDがリリースされ、そのあとにツアーに行くっていうルーティーンが、他のことってないのかなっていうことも考えて...