金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法 - ロバート・キヨサキ, シャロン・レクター

金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法

金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法

  • 勝者の戦略と敗者の戦略

 例として、一人の友人の話をしよう。彼は株式のデイ・トレードに、簡単な独自の「リスク対見返り」戦略を使っている。この友人は、二十の取引のうち一つは相場が上向きになる可能性が大きいことを知っている。彼はそれをもとに、「マネー・マネジメント戦略」と名づけた方式を考え出した。もし、市場に投資できるお金が二万ドル---これは彼が持っている現金総額二十万ドルの十分の一にあたる---あったとすると、彼は一つの取引に千ドルしか使わない。つまり、彼の戦略は、二十回のうち十九回失敗してもいいだけの資金を常に持っていることだ。彼が十四回続けて失敗して一万四千ドルを失ったあと、次の市場の動きに乗って突然五万ドルを儲けるのを私も見たことがある。この勝利の戦略には、二十回のうち十九回失敗する確率が計算に入っている。もっとも、実際に彼が十九回続けて負けたことは一度もない。勝利をものにすると、そのたびに彼は確率をもとに戻す。つまり、次の取引からまた二十回分を数え始める。彼は自分がどんなにお金を持っていようと、確率に変わりのないことを知っている。今でも、二十回のうち十九回は負けることを計算に入れてトレードしている。
 失敗するのを避け、百発百中で勝つことを期待するごく普通の人たちは、敗者の戦略を持っている場合が多い。一度も失敗せずに常に勝つことを期待するのは、敗者の「現実」だ。金持ち父さんが言ったように、「勝利の戦略には失敗が含まれていなければいけない」。今、たいていの人が立てている引退後に備えたリタイアメント・プランには、負ける可能性が含まれていない。たいていの人は、株価が常に上がり、引退後は、自分が生きている限り、それまでの蓄えが必要を満たしてくれると単純に期待している。これは失敗を考えに入れていないプランだ。だから、敗者のプランなのだ。勝者は、どんな計画でも失敗を考えに入れていないといけないことを知っている。