2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

接続助詞「が」の濫用

今から51年前、清水幾太郎は『論文の書き方 (岩波新書)』で、接続助詞「が」の濫用について警告した。ところが「が」の蔓延はとどまるところを知らぬようだ。テレビを見ても本を読んでも会議や雑談を聞いてもこれに遭遇しない日はない。インターネットは素人…

ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2010

フィナンシャル・タイムズ&ゴールドマン・サックスが選ぶ、ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー2010。受賞作はラグラム・ラジャン『Fault Lines: How Hidden Fractures Still Threaten the World Economy』だった。ショートリスト5作のうち、既刊の邦訳は以…

体温を上げると健康になる 実践編 - 齋藤真嗣

70万部を超えるベストセラー本『体温を上げると健康になる』の続編である『同 実践編』が上梓された。『実践編』の冒頭は、新婚の女性が罹りやすい膀胱炎の原因が、実は低体温だった、という内容から始まる。内容を大きく分けて紹介すると、以下の通りだ。…

Fall of Giants - Ken Follett Tweet

『針の眼』(1978)や『大聖堂』(1989,2007)で有名な英国作家ケン・フォレット氏が、新刊 Fall of Giants を上梓した。この歴史小説は、新たに始まる「世紀」三部作の第一作だという。作中の登場人物は、アメリカ人、イングランド人、スコットランド人、フラン…

中国古典からの発想 - 加藤徹

ぱらぱらとめくるといろいろと自分の知らないことにでくわす本。それはたとえば、以下のようなこと。 「ローマの休日(Roman holiday)」は英語で「残酷な見せ物」の意 「灌腸」とは便秘のときにやるあの浣腸でもあるが、料理の名前(ブタの腸の中にに物を注…

完全なる証明 - マーシャ・ガッセン

ミレニアム会議 数はすべての人に魔法をかける。わけても数学者は、数に意味を吹き込むという行為の虜になりがちだ。それを思えば、二〇〇〇年という年に、世界的な数学者たちがパリに集まり、その会議を開いたのも不思議ではない。数学者たちはその会議が、…

雪冤 - 大門剛明

第29回「横溝正史ミステリ大賞」受賞作。 本作はタイトル通り「冤罪」を主眼としたミステリ小説だ。文章は拙いが、意欲と、訴えたいことだけは伝わってきた。テーマが大きいし、一応、最後まで読めた。魅力的なのは、イアン・ランキンや西村京太郎の小説と同…

インパラの朝 - 中村安希

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日作者: 中村安希出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/11/13メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 57回この商品を含むブログ (37件) を見る序章 向かう世界 第1章 ささやきを聴く—ヒマラヤ山系 第2章 カオス—東…

リング - 百田 尚樹

忘れられない光景がある。 テレビの前で父と父の友人がわけのわからない声を上げている。ふだんは物静かな二人が怒鳴り声を上げている。異様に興奮した二人の様子が怖かった。白黒テレビの画面で繰り広げられているのはボクシングの試合だった。 テレビが我…

GRANTA 113

イギリスの雑誌"GRANTA"の113号は、スペインの若手小説家特集。まず、スペイン語版('Los mejores narradores jovenes en español')が出版され、その後、英語版が出版(11月25日)される。 作品が掲載される作家は以下の22名。 ANDRÉS BARBA (アンドレス・…