2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

謝るなら、いつでもおいで - 川名壮志

10年前の「佐世保小6同級生殺害事件」。命を奪われた御手洗怜美さんの父親は毎日新聞の佐世保支局長だった。『謝るなら、いつでもおいで』の著者川名はその部下。支局長と家族ぐるみの親しい付き合いをしていた川名だけに、事件が起きた当時、ショックは大…

ペテロの葬列

宮部みゆきの『ペテロの葬列』がドラマ化され、今日から放送がスタートする。http://www.tbs.co.jp/petero2014/本作は「杉村三郎シリーズ」の第2弾。巨大企業グループの広報室に勤める平凡なサラリーマン杉村三郎が今回も事件に巻き込まれてゆく。 第1弾の『…

インドは変わる!?

週刊誌『東洋経済』で「日本企業にも好機! インドの地殻が動いた」なる連載が始まった。著者は帝羽 ニルマラ 純子(ていわ にるまら じゅんこ)女史である。インドビジネスアドバイザーの肩書を持つ。 第1回目は「「3度目の独立」を果たし、前進するインド」…

愛する娘は、バケモノでした。

中島哲也監督の新作『渇き。』。 本作は6月27日に封切られ、賛否両論を巻き起こしている。 その原因は、R15+指定とは思えないほどのバイオレンス描写だ。 「今まで観た映画で最悪。自分の脳から消し去りたい」「気持ち悪くなったし気分が悪くなった」とい…

第151回芥川賞候補その5 - 横山悠太「吾輩ハ猫ニナル」

序 ある日わたくしの数少ない友人である馬さんが家へひょっくり遣ってきて、自分の今の日本語の水準にして辞書をほとんど使わなくとも読み進められるような小説があるならば、是非とも紹介してほしいと云うのでした。近来の日本の小説は片仮名で表された外来…

第151回芥川賞候補その4 - 羽田圭介「メタモルフォシス」

一人の愛好家が死んだ。 モーニングセットを食べるついでに喫茶店の棚から手に取った実話系週刊誌を読んでいたサトウは、スツールに座ったまま姿勢を正し、当該記事を読み直す。「背中にハローキティの刺青!? 多摩川支流で見つかった身元不明男性遺体に囁か…

第151回芥川賞候補その3 - 柴崎友香「春の庭」

二階のベランダから女が頭を突き出し、なにかを見ている。ベランダの手すりに両手を置き、首を伸ばした姿勢を保っていた。 太郎は、窓を閉めようとした手を止めて見ていたが、女はちっとも動かない。黒縁眼鏡に光が反射して視線の行方は正確にはわからないが…

第151回芥川賞候補その2 - 小林エリカ「マダム・キュリーと朝食を」

私たちがスフレの中心温度より、惑星や太陽の中心温度のほうをよく知っているというのは奇妙なことである。――ニコラ・クルティ 母たちが街を乗っ取ることに成功したその年に、私はこの世に生まれました。ある日、人間たちは遂に、私たちにキッチンを、寝室を…