福島原発の影響について

福島原発の使用済み核燃料冷却問題が続いている。

関東に住んでいる者が気にしなければならないのは、放射線量だろう。
文部科学省のページを見ると、埼玉県では、15日(火)の午前11時あたりに放射線量のピークがあり、16日(水)正午以降は低い値を保っていることがわかる。


人体に影響が出る放射線量を示す単位は、通常、「マイクロシーベルト/年(μSv/y)」である。これに対し、文科省が公表している測定値の単位は、「マイクロシーベルト/時(μSv/h)」である。つまり、人体への影響を見る場合、文科省の測定値を 8,760倍(24時間×365日)して考えなければならない。

たとえば、15日に観測されたピーク値「1.222(μSv/h)」は、年換算すると、1.222×8,760=10,704.72(μSv/y)となる。したがって、これは、文科省の資料に照らし合わせてみると、「ブラジル・ガラバリの放射線」を7%上回る程度の値であり、平常時に通常の生活をした場合に被曝する自然放射線量(世界平均)の4.46年分の量だということがわかる。

ただし、これはピーク値の放射線に被曝し続けた場合の話であって、観測値が落ち着いている現状では、被曝量はそれよりもはるかに少ないと言える。

これに関連して、文科省は話を簡略化するために、計測値単位を「マイクロシーベルト(μSv)」に統一してデータを公表し始めているが、元の計測値単位は「マイクログレイ(μGy)」である。


放射線」と呼ばれるものは1種類ではなく、X線α線β線γ線など、多様である。「グレイ」とは物質放射線に照射されたときの、物質の吸収線量を示す単位であり、「シーベルト」とは生体(人体)放射線を受けた場合の影響(線量当量)の単位である。放射線はその種類ごとに人体に与える影響が異なる。たとえば、α線が人体に及ぼす影響はβ線よりも大きい。「シーベルト」とは、「グレイ」に既定の乗数(放射線の種類により異なる)を乗じたものである。この乗数は全て1以上である。つまり、上掲式の (放射線荷重係数) は、1以上ということだ。これらのことから、シーベルト)≧(グレイ)ということが分かる。つまり、グレイで計測された値より、シーベルト換算値の方が高い可能性があるのだ。しかし、文科省は「*1μGy/h(マイクログレイ毎時)≒1μSv/h(マイクロシーベルト毎時)」という注記を掲げている。これは「核分裂生成物に対しては、グレイ = シーベルト」ということを根拠としているのではないだろうか。