福島原発の影響について#2

文部科学省が全国の上水道放射能検査結果を公表した。

埼玉県では、放射性ヨウ素(Iodine-131) が 0.62(Bq/kg)、検出された。
ヨウ素は体内に摂取されると甲状腺に多く沈着するので、放射性ヨウ素が体内に摂取された場合には甲状腺被ばくに注意が必要である。

次の資料に以下の記述が見える。

 チェルノブイリ事故など原発事故では、放射性のヨウ素131がまず害を及ぼす。これは半減期が約8日と短く、短い期間に雨あられ放射線を照射するからだ。その放射線(ベータ線)のエネルギーは、甲状腺という小さな器官にすべて吸収される。甲状腺は大人で約20g、乳児ではわずか5g程度しかない。一般に放射線による害を表す被ばく線量は、細胞が吸収した放射線エネルギーをその細胞重量で割った値、すなわち細胞1g当たりの吸収エネルギーにほぼ比例する。すなわち被ばく線量は、放射線エネルギーを吸収する器官の重量にほぼ反比例する。甲状腺のような小さな器官に吸収されるのだから放射性ヨウ素のもたらす被ばく線量はきわめて大きい。まさにヨウ素が小さな甲状腺に集中することそれ自体が、ヨウ素の危険性の根拠となる。さらに、甲状腺が人体にとってきわめて重要な役割をもつことが被害を決定づける。


経口摂取による実効線量及び甲状腺等価線量への換算係数(mSv/Bq)は以下の通り。

核種 乳児 幼児 少年 青年 成人
I-131 1.4×10-4 7.5×10-5 (3.8×10-5) (2.5×10-5) 1.6×10-5

1Bq の I-131 を経口摂取した場合の成人の実効線量係数は、1.6×10-5(mSv/Bq) だ*1

つまり、I-131 を 0.62(Bq/kg)含んだ水、約 1リットル を成人が経口摂取した場合の線量当量は、0.62×0.000016=0.000009921(mSv)=0.00992(μSv) となる。

もっと厳密に計算するならば、被ばく線量H(mSv)は、下記(A)式を参照のこと。(出典:厚生労働省『緊急時における食品の放射能測定マニュアル』)

*1:ただし、これは ICRP Publication 66 などのモデルを基に摂取されたヨウ素が体液中から甲状腺へ達する割合を0.2として計算した値である。