グラッドウェルの Igon Value 問題

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫)』や『天才! 成功する人々の法則』の著作で知られるマルコム・グラッドウェルの新刊 "What the Dog Saw: And Other Adventures" をスティーブン・ピンカーNew York Times 紙の書評で取り上げた。ピンカーは書評上で、グラッドウェルの無知を指摘した。問題の箇所は専門家のインタビューからの引用で、本来 "eigenvalue"(固有値)と表記すべき単語をグラッドウェルは誤って "igon value"(コユウ値(?))と表記していたのだ。ピンカーはこういった例をいくつか挙げて、これを "the Igon Value Problem"(コユウ値問題)と名づけた。

そもそも、この "What the Dog Saw: And Other Adventures" はこれまでに発表したエッセイを集めたエッセイ集だ。つまり、各エッセイには初出のメディアが存在しており、問題のエッセイは2002年4月22日付の New York Times 紙に掲載されていた。この紙面を確認してみると、驚いたことに、"igon value" ではなく "eigenvalue" と正しく表記されていたのだ。では、なぜ単行本の記載は "igon value" と誤ったままだったのか、なんとも不思議である。

スティーブン・ピンカーの書評
2002年4月22日付のNew York Times紙の証拠


(検索用)Malcolm Gladwell, Steven Pinker, 勝間和代