パスファインダー(大前研一通信特別保存版PartIII)
「R+」様より献本頂きました。
本書は、BBT(ビジネス・ブレークスルー)大学の設立準備を手伝う現役の大学生達、自らが、日本の将来を見据えた大前研一の教育に関わる記事の中から、彼らの心に触れたメッセージを選択し、大学設立準備室のメンバーとともに主に編集・構成したもの。
第1章 教育論
本章で大前氏は、今の日本の教育の課題として、偏差値教育を挙げる。「偏差値教育の一番悪い点は、それがあたかも人間の能力や価値を規定する万能な尺度であるかのような錯覚を与える」点にあると指摘する。そして、偏差値の無かった時代に育った人物の例として、小学校に4年しか行っていない松下幸之助氏や中卒の本田宗一郎氏を挙げる。この2人に共通するのは、「天井」がない点、つまり、「自分の能力に天井がある、等という発想そのものが無かった」点だ、と説明する。
同章では、今の子ども自身について、可能性を秘めていると高く評価する。
彼らは「ドラクエ(ドラゴン・クエスト)」や「FF(ファイナル・ファンタジー)」で育った世代だ。こうしたRPGにおいて、プレーヤーは試行錯誤をしなければゲームをクリアできない。つまり、子どもたちは試行錯誤をしているうちに自然と問題解決能力を鍛えているからだという。大前はこの世代を「任天堂キッズ」と呼び、他の世代(「団塊の世代」や「少年ジャンプ世代」)よりも有望だと断言する。
第2章 日本の若者への伝言
本章では、日本の若者に対し、こんな注意を投げかける。
「私も同意見です」という発言は禁止である。これは「思考停止」の表明にすぎない。(中略)本当は賛成と思っていても、あえて反対のための議論を考えてみるのも訓練である。
大前氏自身、会社の会議で、敢えて「私は違うと思います」と発言し、考える訓練をしていたそうだ。
第3章 「親」論
本章では、教育問題は親の問題であると指摘した上で、教育の観点から親に対してこんな警告を発する。
決して自分たちの価値観で見た「いい学校」に、子どもたちを入れてはいけない。ビジネス社会で通用しない、時代遅れの価値観が子どもたちの頭に染みついてしまう。
これはつまり子どもの世代に「30年前の常識」は通用しないということだろう。確かに、親の常識を子どもに押しつける行為は、時代遅れの荷物を子どもに背負わせるようなものだと小生も思う。とはいえ、親の常識を破るにも制約がある。「社会に対する責任、自分に対する責任、家族に対する責任、会社に勤めたら会社への責任、この4つの責任をまっとう」しなければならない、という制約だ。
第4章 こんな大学を創らなければ日本に未来はない
本章では、大学が少子化による定員割れを危惧しているなんて戯言だとし、解決策として、30〜40年前の卒業生を再教育する講座(「老後の楽しい過ごし方」「国に騙されない生き方」「年金を年利10%で回す運用法」など)を開けばいいと、さらりと打開案を披露している。
目次
第1章 教育論
- 限界のない夢を持ったかつての日本経営者たち
- 偏差値教育の愚
- 答えのない時代の「教えない教育」
- 自分の人生、他人に答えを求めるな
- 世界から学べ
- 情報化社会の親と子の考え方
- マニュアル通りにはやるな―RPG世代はニッポンを変えられる
第2章 日本の若者への伝言
- 好きなことをやれ・好きなことなら成功する
- 悩むのと考えるのは違う
- 英語から逃げるな
- IT
- 論理思考 問題解決
- グローバルリーダー
第3章 「親」論
- 30年前の常識を押し付けるな
- 親子の絆
- 教えるな、子供と一緒に答えを見つけよう
- よき国際人であるまえに、まずよき家庭人、よき地球人になる教育を
第4章 こんな大学を創らなければ日本に未来はない
オンラインでの未来派学習法(インタビュー)
第5章 「大学生で大学作ろう委員会」メンバーの生の声を聞く
21世紀の道の見つけかたとは?
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