精神科は今日も、やりたい放題

 うつ病セロトニンの減少に関係するのではないかという仮説を立てたのは、ジョゼフ・シルドクラウトという人だ。セロトニンドーパミンが精神病に関係するのではないかという仮説を、モノアミン仮説という。
 しかし提唱したこの仮説はすでに否定されている。仮説というより関係ないと「証明されている」のだ。
(中略)
 この件に関してアメリカ精神医学雑誌「the American Journal of Psychiatry」には、うつ病の化学的不均衡理論を再検討した医師たちによる以下のようなレビュー記事が掲載されている。
 「10年以上にわたる PET study、モノアミン枯渇に関する研究、およびモノアミン関連遺伝子の多型性を調べる遺伝子関連解析の結果、うつ病の病態生理において、セロトニン系、ノルアドレナリン性、またはドーパミン作動性神経伝達の実際の欠陥に関係すると思われるエビデンスはほとんど存在しなかった」
 そして二〇一二年現在にいたっても脳内のセロトニン濃度を測定することもできないのだ。にもかかわらずこの仮説は世界中でうつ病を語る基本理念のように語られ、抗うつ薬もそれを基本に作られてきた。これは薬ありきでまったくウソの仮説をさも根拠あるもののように用いているにすぎない。

 ちなみに文中のレビュー記事の原文は以下のとおり。

“After more than a decade of PET studies (positioned aptly to quantitatively measure receptor and transporter numbers and occupancy), monamine depletion studies (which transiently and experimentally reduce brain monamine levels), and genetic association analyses examining polymorphisms in monoaminergic genes, there is little evidence to implicate true deficits in serotonergic, noradrenergic, or dopaminergic neurotransmission in the pathophysiology of depression.”

内海聡●うつみ・さとる
一九七四年、兵庫県生まれ。筑波大学医学部卒業後、内科医として東京女子医科大学附属東洋医学研究所、東京警察病院などに勤務。ネット上で診断の見直しや薬の相談に答える「セカンドオピニオン活動」や、発達障害に関する著書の執筆など、精神医療分野での積極的な活動を行なうなかで、「病を悪化させる精神科医療」という現実にブチあたる。その後、自らクリニックを立ち上げ、薬を使わず、おもに漢方を用いることで精神疾患への治療に努め、成果をあげている。「精神薬の薬害を考える会」幹事としても奮闘。本書は自戒の書であるとともに、医療従事者による精神医療という存在自体への問いかけでもある。

精神科は今日も、やりたい放題

精神科は今日も、やりたい放題

目次
はじめに
第1章 精神医学は、やりたい放題!
精神医学はなぜ生まれたか?
非科学としての精神医学
その日の気分で決まった「診断基準」
アメリカ精神医学界・大御所の反省
効果のない拷問治療・電気けいれん療法
安全な精神薬はあり得ない
薬が効かない実例
心理療法だから良いわけではない
ある患者の入院体験
なぜ精神病院でこれほどの人が死ぬのか
都内不審死から続々検出される精神薬
一〇日間の医療保護入院
副作用の報告
精神医学は「やりたい放題」の世界
第2章 私は精神医学を「詐欺」と呼ぶワケ
あなたも絶対当てはまる!ADHDチェックリスト
人間は怒り、泣き、笑い、悲しむもの
「睡眠キャンペーン」の真実
否定されている「仮説」
精神科医ごとに異なる診断
一八〇度変わった「日本うつ病学界」理事長の発言
ファイザー社のデッチアゲ研究
早期介入、早期支援という一大詐欺について
精神医学幻想からの脱却
「ダメでも結果は隠せる」
第3章 これは病気ではない
1.最も流行の精神疾患発達障害
流行の「発達障害」という概念を広めた、わが反省
隠れ蓑としての発達障害
「昔はADHDなんて言わなかった。子どもって言ったんだ」
ADHD治療薬は、ほとんど覚醒剤
入院なんかしなきゃよかった
発達障害という撒き餌
2.いい加減でおかしい病名「うつ病
脳のどこの疾患なのか?
幼児期に精神治療薬を使うと…
「うつ」のほとんどは社会ストレスが原因
じつは最も多い「医療薬物性うつ病
3.大々的キャンペーンの成果「うつ病
うつでないから躁うつ病
本物の躁うつ病とはどんなものか?
躁うつ病診断の本当の理由
4.万人に当てはまる「強迫性障害
強迫観念と強迫行為
人ならだれでも強迫性障害
抗精神病薬の問題
「手洗いを頻繁にする青年」のケース
5.顧客マーケットを掘り起こす「不安障害・社会不安障害
緊張する人は社会不安障害
「病気」を作れば儲かります
依存症患者の作り方
三〇年前の警告
6.親の詐欺的行為?「心的外傷後ストレス症候群(PTSD)」
トラウマは人生の原動力なのに…
精神科医と親による「共同虐待」
PTSDで精神科に行くと…
7.優秀な精神科医は治療しない「人格障害
精神医療業界からすれば、私も人格障害
8.治療の先に悲惨な結果「気分変調症」
薬依存の優良顧客
精神科の感情喪失患者
9.やけ食いと何が違うの?「摂食障害
食欲がないというだけで拒食症
10.“本物”は三〇〇〇分の一「統合失調症
統合失調症精神科医の主観が決める
「キャバ嬢になりたい」は精神病か
だれでも支離滅裂なときがある
私が定義する統合失調症
薬で統合失調症になる原理
一〇〇人に一人という数字のマジック
第4章 精神科にダマされないために
良心的精神科医さえ薬を使う
精神科は存在自体が悪
「良識」と「権威」も罠である
精神科を受診する前の一〇の心得
精神科不要論
第5章 私の実践する「精神症状」対応策
もう一歩踏み込んだ薬以外の対処法
生きる上で大切な「痛み」
薬害にあわないためにはどうするかと薬害の対処法
薬を減らす原則
薬ごとの対応法
東洋医学(漢方や鍼灸治療)の利用について
漢方の副作用について
鍼灸治療のススメ
サプリメントをどう考えるか?

おわりに―まともな精神科医に出会うためには

参考文献・参考HP
【参考文献】

【参考HP】
「精神医学一刀両断!!!」● http://blog.livedoor.jp/psyichbuster/
精神科医の犯罪を問う」● http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55
「光の旅人」● http://schizophrenia725.blog2.fc2.com/
「読売新聞医療サイト yomiDr」● http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/
八咫烏」● http://ameblo.jp/sting-n/