食品業界は今日も、やりたい放題

 私は「着色料」「甘味料」「保存料」「乳化剤」という表示がある製品はまず購入しません。

 現行の制度では、たとえば、乳化剤の中に「グリセリン脂肪酸エステル」「ショ糖脂肪酸エステル」「ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル」「プロピレングリコールエステル」などを添加していても、「乳化剤」の三文字だけで済んでしまうのです。

他にも、パンの食品表示に「イーストフード」とあれば、そこには16種類の合成化合物が含まれる可能性がある。つまり表示を見ただけでは、どの化学合成物質がどれだけの量入っているかは分からないのだ。


このような一括表示が認められている添加物は全部で14グループある。

  • 一括表示グループ
    1. イーストフード
    2. 調味料
    3. 酸味料
    4. 香料
    5. ガムベース
    6. 苦味料
    7. 酵素
    8. かんすい
    9. 軟化剤
    10. 乳化剤
    11. PH調整剤
    12. 膨張剤
    13. 光沢剤
    14. 凝固剤

 コンビニに並ぶサンドイッチなどに「合成着色料・合成保存料不使用」と大きく表示されてあっても、裏にある原材料表示を見ると「カロテン色素、カラメル色素」とある場合があります。
 カロテンは合成添加物、カラメルも「アメのカラメル」のように思えますが合成着色料です

 たとえば、パックに入って店頭に並んでいる梅干。その梅干の食品表示を見ると、原材料に「梅、食塩、シソ、ビタミンB1」と書いてあります。
 ビタミンB1は、消費者の栄養補給のために入れられているのではなく、食品メーカーによる保存料隠しです。
(中略)
食品表示に「保存料(ソルビン酸)」とあれば、消費者が警戒しますから、それを心配した食品業界が、「ビタミンB1」や「B1」と表示するようになったのです。
 梅干などに使われているのは、天然のビタミンB1ではなく、「ビタミンB1ラウリル硫酸塩」という合成化合物です。
(中略)
 本書を読んだ読者の方が「ビタミンB1という表記は“合成添加物隠し”に使われているわけだから、ビタミンB1が入った製品は避けよう」と行動しはじめると、メーカー側はビタミンB1の表記さえしなくなってしまう可能性があります。
(中略)
どう表示するか、あるいはするかしないは食品メーカーの方針次第で、行政は口出しできません。

 和菓子や洋菓子などを買おうとして、原材料表示欄の最後のほうに「ビタミンB2」とあったら、ちょっと変だと思いませんか。
 (中略)これも合成添加物で、自然で穏やかなクリーム色を演出する黄色系の合成着色料です。

 清涼飲料水をはじめ、お菓子類、食肉製品、塩漬けの魚介類、カマボコなどの魚肉練り製品、果物の缶詰、果汁類の原材料名の最後のほうに「ビタミンC」や略称の「V・C」、それに別名の「アスコルビン酸」「アスコルビン酸Na」とあれば、これまた合成された添加物です。

添加物メーカーにやってほしいこと
(中略)
(1)添加物に含まれている不純物の種類(科学名)とその量を明らかにする
(2)添加物に含まれている不純物の量を0.01ppm以下にする
(3)すべての添加物および添加物製剤について保存試験を行い、経時変化について調べる。このとき必ず成分の化学変化を調べる
(4)添加物の経時変化により生成される不純物がどのような物質であるかを明らかにする
(5)生成される不純物の最大量も明らかにする
(6)添加物の使用期限を定め、経時変化を起こさないと保証できる期間を使用期限とする(この場合、添加される食品の賞味期限を考慮すること)
(7)添加物同士、または添加物と食品との食べ合わせに関する注意を喚起する

小藪浩二郎●こやぶ こうじろう
岡山県生まれ。九州大学大学院農芸化学専攻(栄養化学講座)修了後、京都大学薬学部研究生を経て、製薬会社の研究部門に勤務。14年にわたって添加物開発の最前線で研究に従事する。添加物・医薬品等の安全性研究所主席研究員を務めるが、化学者として添加物のあり方に疑問を抱き、食品メーカーに転職。現在は「合成着色斜」「合成甘味料」「合成保存科」を使わない食品会社の研究室長(顧問)のかたわら、食品系専門学校で教鞭をとる。本書は40年にわたり食品業界に身を置くものとして業界の健全化を願っての、反省と告発の書である。

食品業界は今日も、やりたい放題

食品業界は今日も、やりたい放題

目次
はじめに――放射能より恐い食品業界
序章 なぜ、食品業界はやりたい放題なのか?
原材料・添加物表示のないファーストフードのハンバーガ
実態を目隠ししている「表示免除」
「合成着色料・合成保存料不使用」って、本当?
実態を誤解させる「レトリック」
「合成」添加物を「指定」添加物と言い換える
実態を隠して見せる「一括表示」
食品メーカー、小売業者、厚労省の共同作業
「品質管理に熱心」なはずの業界が起こした食中毒事件
食品業界がやりたい放題できるワケ
第1章 添加物・食品メーカーで目撃した業界の裏側
食品業界で強力な力を持つ小売業者、流通業者
添加物メーカー、悪魔のささやき
美味しいケーキの正体
みんなが添加物を使いたがる三つの理由
食品添加物メーカーって、どうなっているの?
水増しブロイラーの作り方
「混ぜ屋」にまつわる恐い話
不要な添加物まで食品に入れさせている
賞味期限は大丈夫か?
食品業界を取り仕切る厚労省の実体
添加物の物質名は短く、省略される
危険が証明されないうちは使用する
第2章 どっちが正しい?添加物危険論VS無害論
添加物は十分な安全性試験を行なっているから心配ない?
「天然添加物」も安心できない――添加物はやっぱりアブナイ①
野菜のビタミンは天然でも、添加物のビタミンは合成
添加物には使用制限がない――添加物はやっぱりアブナイ②
不純物という危険性――添加物はやっぱりアブナイ③
不純物はすべて危険なのか?
正体不明の物質が入り込んでも「問題なし」
残留農薬より圧倒的に危険
添加物の毒性は微生物やネズミで調へるだけ――添加物はやっぱりアブナイ④
動物で確かめた安全性を人間に適用してよいのか
エサに混ぜた添加物と調理した添加物は違う――添加物はやっぱりアブナイ⑤
大学や公的研究機関は研究しない・・・
メーカーが提出する安全性試験用添加物――添加物はやっぱりアブナイ⑥
添加物の使用期限は守られているのか――添加物はやっぱりアブナイ⑦
食品添加物の賞味期限が守られていない実態
第3章 食卓には今日も「中国産添加物」
中国産食品アレルギーが日本列島に蔓延
日本の食品メーカーの意識も高くないが・・・
中国の食品メーカーを訪ねてみると
中国の食品製造現場で一番の問題は「水」
中国産「添加物」輸出、絶好調!
あなたも九割九分、食べている
安い中国産添加物の裏側にある事情
不純物を意識しない日本の食品メーカー
小売・流通や食品メーカー、そしてメディアも無関心
穴だらけの検査
その食品、どこの国のだれが作ったもの?
製造者の本当の国籍がわからない
日本国内で作っても製造者がわからない
カヤの外に置かれつづける消費者
中国も日本もレベルアップを
第4章 この「食品表示」、買って大丈夫?
「ビタミン」入りで栄養補給?
ビタミンB1」という保存料隠し
「添加されているのに、どこにも表示されていない」不思議
「ビタミンE」は合成着色料
じつは合成酸化防止剤の「ビタミンC」
「ビタミンE」も合成酸化防止剤
「調味料(アミノ酸)」だから体によい?
買ってはいけない「調味料(アミノ酸)」
「アミノ・カルボニル反応」の問題点
魚や肉の焦げたところは食べないようにしているなら・・・
「タンパク質加水分解物」ってどんなタンパク質?
添加物なのに原料扱いのタンパク質加水分解
「加工デンプン」なら安全でしょ?
「加工デンプン」にこ注意を
ケタ違いに食べられている加工デンプン
「加工デンプン」命名の由来
加工デンプンがなぜ問題なのか
加工デンプンの隠れた恐怖・アレルギー
加工デンプンの健康被害はいつ現れる?
「加工油脂」の素顔
油脂ってなんだ?
固さが自由自在の加工油脂
食用油脂の基礎知識
トランス脂肪酸」という危険物
さらに危険なトランス型過酸化脂肪酸
日本ではトランス脂肪酸が野放し
トランス脂肪酸を規制しない日本政府
第5章 プロが教える、危険な食品から身を守る方法
国民は発ガン性食品を食べさせられつづけた
添加物をなるべく避ける、私の生活
添加物の少ない世の中にするために
添加物を使わなくてもここまでやれる
添加物を使わない食品は売れます!
消費者の判断基準となる「食品表示」の改正を
添加物メーカーにやってほしいこと
添加物メーカーの者は自分で試せ!
求められる「食業人」

おわりに――本当に大切なもの