書籍

外務省犯罪黒書 - 佐藤優

週刊誌のスキャンダル隠蔽のために 私はかつて外務官僚の特権を守ったり、マスコミに対して外務省のスキャンダルを隠蔽するような作業に手を貸したこともある。 いまにして思えば反省すべきことであり、心から後悔もしている。反省の意味を込めて、本書では…

現代プレミア ノンフィクションと教養 - 佐藤優・編

→ 加藤陽子 ノンフィクション100選→ 佐藤優 ノンフィクション100選→ 佐野眞一 ノンフィクション100選 総合ベスト10 『日本共産党の研究』立花隆/講談社文庫/全3巻1922年の党成立から戦時下の弾圧による崩壊までを記録した戦前の日本共産党通…

岩波講座世界歴史〈第1〉古代 1 (1969年)

総 説杉 勇 I 一つの歴史的世界としての「オリエント」 東は現在のパキスタンから西はボスポロス海峡及びナイル川峡谷に限られ、北は黒海、カウカスス山脈とイラン高原の北麓を境とし南はアラビア半島を含む地方、ほぼ北緯一〇度から四〇度くらいの間、わが…

今すぐ読みたい! 10代のための YAブックガイド150! - 金原瑞人, ひこ・田中

1章 10代の「今」を感じる本 ◆学校のリアル 『クラスメイツ』森絵都(偕成社)中学1年A組の24人全員の視点に寄り添った24の短章から成る1冊。入学直後の「千鶴」から始まって、「しほりん」「蒼太」「ハセカン」……と続きながら季節もめぐり、修了…

茶色のシマウマ、世界を変える - 日本初の全寮制インターナショナル高校ISAKをつくった 小林りんの物語 - 石川拓治

2014年8月、長野県の軽井沢町に新しい高校が誕生した。 普通の高校ではない。 第一に、生徒は日本国内だけでなく、アジア圏を中心に世界中から募集する。 第二に、生徒全員が寮生活をする。 第三に、授業は原則としてすべて英語で行う。 つまり日本で初めて…

いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編 - 安藤達朗

ビジネスパーソンが本気で日本史を学ぶのに最適の1冊山岸 本書の元となった『大学への日本史』をリニューアル復刊するという企画は,もともとは佐藤さんの発案だったそうですね。まずは,その意図からお聞かせいただけますか。 佐藤 教養ブームといわれて久…

「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する - 橘玲

リンゴはなぜ赤いのか? フッサールの現象学は、最後の大哲学者ハイデガーに引き継がれた。ハイデガーの『存在と時間』はフッサールよりさらに難しくて、日本でも“秘教的(カルト的)理論”が好きなひとたちに人気がある。でも現象学はそこからどんどん先細り…

危機を覆す情報分析 知の実戦講義「インテリジェンスとは何か」 - 佐藤優

伝統への回帰を称した新自由主義政策 鎌倉さんの考え方で面白いのは、資本主義が自立しているかどうかの論争のポイントとして、失業者の生存はどこから担保されているかが取り上げられていることです。賃金とは三つの要素から成り立っています。一ヵ月の賃金…

マイナス金利 - 徳勝礼子

5 円を犠牲にしてもドルが欲しいと円金利はマイナスに 円負債のある日本企業はドルを買うより借りる 邦銀を筆頭とする本邦企業がドルを入手する場合、ドルを買うか、借りるかのいずれかの方法がある。それほど差がないように見えるかもしれないが、この二択…

あの日 - 小保方晴子

生き方全部が間違っていたのか 誰かの役に立つ仕事に就くのが夢だった。その道をまっすぐに追ってきたはずだった。 これまでの人生のあらゆる場面を思い出し、いつのどの判断が間違っていたのか、どうしていたらよかったのか、私はここまで責められるべき悪…

仏教思想のゼロポイント―「悟り」とは何か― - 魚川祐司

無我 では、三相の最後、「無我(anattan)」についてはどうだろう。この無我という概念の内実については、輪廻思想との絡みで第四章において詳しく論ずることになるが、この場で必要なだけの定義を与えておけば、それは経典においてしばしば「無我なるもの…

21世紀の不平等 - アンソニー・B・アトキンソン

『21世紀の不平等』を書いたアトキンソンは、ピケティ(世界的ベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者)の師である。 はじめに 不平等はいまや公的な論議の最前線にある。1パーセントと99パーセントについて多くが書かれ、人々は不平等のひどさについて…

服従 - ミシェル・ウエルベック

それはその通りだった。人間中心主義という言葉を聞いただけで微かに吐き気を覚えるし、でも、それはミニパイのせいだったのかもしれない。食べ過ぎたのだ。ぼくはミニパイを消化するためにムルソーをもう一杯飲んだ。 彼は続けた。 「考慮すべき点は、多く…

わがや電力 〜 12歳からとりかかる太陽光発電の入門書 - テンダー

本書『わがや電力』の著者は、テンダーこと小崎悠太。元バーテンダーで、今は南さつま市金峰町長谷集落に移り住み、そこで「電気・水道・ガス契約ナシ」の生活をしている。自称ヒッピーだが、完全に原始的な暮らしをしているわけではなく、太陽光発電を利用…

いま生きる階級論 - 佐藤優

『帝国主義論』という補助線 では、ここまでをイントロとして、宇野弘蔵に入っていきましょう。 例えば、この官僚という問題を理解するためには、〈階級〉という概念を正確に押さえる必要があります〈見えない階級〉である官僚階級の問題を扱うことで、〈国…

いま生きる「資本論」 - 佐藤優

マルクス経済学とマルクス主義経済学 宇野弘蔵の考え方は、基本的に経済学を歴史学の一つとして考えています。経済学というのは、資本主義時代にしか通用しないものです。なぜならば、経済を基準に社会全体が動くようになったのは資本主義になってからですか…

知的トレーニングの技術 - 花村太郎

記憶読書法は記憶すること自体が目的ではなく、血肉化することが目的なのだから、もう一段グレード・アップした方法を紹介しなければならない。これはズバ抜けた記憶力の持ちぬしたち、わが国最大の知性・南方熊楠の方法であり、鷗外を筆頭に明治の知性人た…

家族の哲学 - 坂口恭平

「ちょっとしつれいしまーす」 アオの声だ。私の書斎には鍵がない。だから誰でも簡単に入れてしまう。最近ではゲンの手も届くようになってきてしまった。私は一人でもんもんと書きなから、ああでもないこうでもないと悩んでいるのに、二人は何の気がねもしな…

バリウム検査は危ない - 岩澤倫彦

プロローグ 本書カバーの画像をじっくりと見てほしい。 バリウム検査で撮影された50代男性の胃の右側には、不規則な模様を描く白い陰影が幾筋も走る。炎症を起こした胃粘膜に特徴的な太い襞に、バリウムが貼り付いたものだ。原因はヘリコバクター・ピロリ菌…

知性とは何か - 佐藤優

二〇一四年衆院選が露呈した安倍首相の反知性主義 どうすれば反知性主義を克服することができるか、というのは非常に困難な課題である。結論を先取りして言うと、反知性主義者が反知性主義を脱構築することはできない。 繰り返しになるが、反知性主義とは、…

キリスト教神学概論 - 佐藤敏夫

本書は神学の入門書であり、佐藤優が『神学の履歴書: 初学者のための神学書ガイド』の中で勧めている本である。 第二節 律法と律法主義 ユダヤ教史の中でイエスの時代はいわゆる律法主義の極めて盛んであった時代である。この時代よりもっと律法主義が盛んに…

神学部とは何か - 佐藤優

私の場合は、もともとの母体が日本キリスト教会というカルヴァン派の教団だったので、結局はカルヴァン的な発想から抜け出ることができない。人間誰しも、人生で一番最初に触れた世界観的な思想、つまり生き死にの原理を説く思想の刷り込みからは抜け出せな…

希望の資本論 - 池上彰, 佐藤優

「仕事か、家庭か」は根源的問題 佐藤 そうすると、ここで重要なのは、やはり、マルクス経済学における賃金論なんですよね。繰り返しになりますが、『資本論』における賃金論というのは、三つの要素からなります。 ①1番目。これは1ヵ月の賃金で考えましょ…

NHK亡国論 - 西村幸祐

NHKをつくった占領軍の「WGIP」 「WGIP」とは「War Guilt Information Program(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)」の略である。昭和二十年(一九四五)、終戦直後の東京に設置された連合国軍最高司令官総司令部、通称「GHQ…

「骨ストレッチ」ランニング 心地よく速く走る骨の使い方 - 松村卓

「こんなに腕を振らずに走っていいんですか?」 桐生祥秀君を最初に指導したとき、彼が思わず口にしたのは、そんな言葉でした。その隣では、彼を私に紹介してくれた骨ストレッチ指導員の安井章泰君がニヤニヤとしています。一〇〇メートルのスプリンターとし…

謝るなら、いつでもおいで - 川名壮志

10年前の「佐世保小6同級生殺害事件」。命を奪われた御手洗怜美さんの父親は毎日新聞の佐世保支局長だった。『謝るなら、いつでもおいで』の著者川名はその部下。支局長と家族ぐるみの親しい付き合いをしていた川名だけに、事件が起きた当時、ショックは大…

「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。 - 河岸宏和

ラウンド1 某大手ファミレス・チェーン店 「混ぜもの」をめいっぱい 入れたハンバーグ □「汚い店にうまいものなし」 河岸 (席につくなり)この店はダメだよ。おいしくない。 ―― まだ何も食べてないじゃないですか!? 河岸 だって入り口にゴミが落ちていたし…

Min Kamp - Karl Ove Knausgaard

ノルウェー人の作家 Karl Ove Knausgaard の自伝的小説 Min Kamp(我が闘争)をご存知だろうか。氏はこの6部作を2009年から2011年のわずか3年間で書き上げ、ノルウェー国内で大ベストセラーとなった。ノルウェー人の少なくとも5人に1人は読んでいる。英語に…

Clouds above the Hill

本日付けの The Japan Times 紙に 佐藤紘彰氏が Clouds above the Hill(3巻、4巻)の書評 "A wistful note on a triumphant battle" を書いている。本書は司馬遼太郎の大作『坂の上の雲』の英訳版である。日本語で全6巻構成の本書は、英訳版では全4巻構成で…

日本人には思いつかない「居酒屋英語」発想法 - ジェフ・ギャリソン

一九七八年のある日のことだった。 僕は東京・神田の古書店街にいた。店の名前は覚えていない。僕が書棚をあさっていると、無精ひげを伸ばした日本人男性がぶらぶら歩いてきて、いきなり僕に話しかけた。 「どんな本、探してるの?」 I liked that. その一言…