血流がすべて解決する - 堀江昭佳
本書は献本サイト「レビュープラス」様から献本頂きました。
著者の堀江昭佳(ほりえ・あきよし)氏は、出雲大社の表参道で90年続く漢方薬局に勤める薬剤師である。この薬局、予約が取れないことで有名だそうである。それほどの人気を呼ぶ理由はなんだろうと思いながら本書を読んでみて納得した。
こと血液の流れに関して言えば、血が「サラサラ」であるかどうか。われわれはそればかり気にしがちである。やれ納豆がいい、やれ青魚がいい、やれEPAがと薦められるままにそうした食品へと飛びついてしまう。ところが、著者によれば、血流の問題はもっと奥が深いという。
どういうことか。血流に問題がある場合、その人が陥っている状態は3つ考えられるというのだ。
①血がつくれない
②血が足りない
③血が流れない
それぞれに番号がついているのは、症状が階層状になっているからだ。血流に問題を抱えている人は、①、②、③の順に課題をクリアしていかなければならない。
よく耳にする「血液がサラサラかどうか」(=③)という課題は、①、②をクリアして初めて対処すべき事柄なのだ。つまり、「①血がつくれない」人、「②血が足りない」人は、いくら血液をサラサラにしてもあまり意味がないということだ。この場合、目指すべきなのは「血液サラサラ」ではなく「血液たっぷり」なのだ。
3つの状態は、漢方では「体質」として定義されている。
いちど自分の体質が判ってしまえば、あとはそれぞれの改善方法が本書で細かく説明されているので、それに従って取り組んでいけばいい。実に実用的な内容の本となっている。
また、血流の改善には四か月を見て欲しいと著者は言う。
理由は二つ。一つは赤血球の寿命。赤血球が骨髄で生まれ、脾臓で壊されるまで百二十日かかる。つまりすべての血液が生まれ変わるのに「四か月」が必要であるということだ。
もう一つは女性特有の事柄で、卵子のサイクル。「子宮は血の海」というように、女性の血は子宮・卵巣の働きに象徴される。つまり、「生理の状態がよくないと血流の状態がよいとは」言えないのだ。「この生理のリズムのもととなる卵子が準備されるのに約四か月かかる」のである。
この2つの理由により血液が本当に改善したのかどうかが判明するまでに少なくとも四か月かかるという。言われてみると至極当然のことであり、なるほどと思うことだろう。
ここでもう少しデリケートな話題として、そもそも血が足りなくなるのは男性よりも女性の方が圧倒的に多い、と言う話を。
これは生理という形で毎月血液を失っているからです。生理で流す血液量をあなどってはなりません。一回の経血量は約一〇〇ml、一年で一・二Lにもなります。初潮から閉経まで四十年とすると、恐ろしいことに女性は一生で約五〇Lもの血液を失うことになるのです。日本人女性の平均体重が五二kgですから、ひと一人まるごとくらいの膨大な量です。これに、出産や授乳を加えると失われる血液量はさらに増えます。
最後に漢方薬局で治療を受けた患者さんのエピソードを。
「この間、同窓会に行ったら『何したの!?』ってものすごい質問責めにあったんですよ〜」
とうれしそうに言われるRさん。彼女は婦人科系のトラブルを解消しようとして血を増やしていました。決して美容のための努力をしていたわけではなかったのです。
(中略)
実は、肌、髪、爪の美しさに深くかかわっているのが「血」なのです。
本書には、血液の健康を改善する方法がいろいろと登場する。食餌、食べ方、断食の仕方、呼吸法、おすすめの運動、睡眠の取り方、血流改善に効果のあるツボなど、その内容は具体的で実践的なものばかりだ。
本書は、健康本として、非常に活用のし甲斐のある内容となっている。興味を持たれた方は是非いちど手にとって読んでみて頂ければと思う。
堀江昭佳(ほりえ・あきよし)
漢方薬剤師/不妊カウンセラー/有限会社堀江薬局代表/一般社団法人日本漢方薬膳協会 代表理事
1974年生まれ、出雲市出身。出雲大社参道で90年続く老舗漢方薬局の4代目。
薬学部を卒業後、薬剤師となったのち対症療法中心の西洋医学とは違う、東洋医学・漢方の根本療法に魅力を感じ、方向転換する。本場中国の漢方医から学ぶ中、不妊に悩む友人の相談を受けたところ、漢方で妊娠したことに感動し、婦人科系の分野、なかでも不妊症を専門とするようになる。
体の不調の解消だけではなく、本人の抱えている常識や執着といった束縛からの「心の解放」を終着点としている唯一の漢方薬剤師。
血流を中心にすえた西洋医学、漢方医学、心理学の3つの視点からの総合的なアプローチは評判を呼び、自身の薬局で扱ってきた不妊、うつ、ダイエット、自律神経失調症など心と体の悩みは5万件を超える。地元島根はもとより全国、海外からも相談があり1か月先まで予約がいっぱいの状態が続いている。
不妊相談では9割が病院での不妊治療がうまくいかず、来局されるケースであるものの、寄せられる妊娠報告は2015年だけでも155名、2009年以降の累計は614名に上る。
また、日本漢方薬膳協会の代表理事にも就任し、広く漢方薬膳の知識を広め、より多くの女性に幸せと笑顔を届けるために奮闘中。目次
- 作者: 堀江昭佳
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2016/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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はじめに
第一章
その不調の原因は、
すべて血流にあった
「血液サラサラ」にしても血涙はよくならない第二章
血沈は細胞レベルで、あなたの体を変える
血の質と量ほが、「若さ」や「寿命」を決めている
体を生かすも殺すも血流がすべて
女性の力は「血流力」である
鉄不足によって負の感情が生まれてしまう
五万件のカウンセリングが教えてくれた「心と体の本当の関係」
血流を増やせば、心も体もよい状態になる
「つくる・増やす・流す」で
あなたの血流はよくなる
なぜ、あなたの血流はよくないのか?第三章
体質を変えれば血流はよくなる
血がつくれない「気虚体質」のひとは疲れやすく、やる気が出ない
血が足りない「血虚体質」のひとは婦人科系のトラブルが多い
血が流れない「気滞 瘀血体質」のひとはストレスに弱くイライラしがち
血流をよくする時間は「四か月」
「つくる・増やす・流す」の順番を必ず守る
たった四か月で心も体も変身する
血をしっかりつくるための食べ方
10の真実
一日のリズムで体質はつくられる第四章
[1]満腹より空腹がいい
[2]やっぱり朝ごはんは食べなさい
[3]「一週間夕食断食」で胃腸がよみがえる
[4]夕食断食をすると、内側から若返る
[5]パン食よりもごはん食がいい
[6]ほうれん草では鉄分を補えない
[7]血流不足にマクロビはすすめない
[8]血を増やしたければ肉食女子になりなさい
[9]下腹ぽっこりは血流の大敵
[10]命への感謝が血をつくる
元気な血を増やすための眠り方
6つの常識
血を増やすためには、二十三時までに眠るだけでいい第五章
[1]夢を見るのは、血が足りないから
[2]恐れるべき不眠スパイラルから抜け出す
[3]あなたの眠りと血流をつくるのは、朝日
[4]寝る前の「完全呼吸」で睡眠の質を劇的に高める
[5]湯上がりは冷えるから眠りに効く
[6]もしも眠れなくても、自分を責めなくていい
「静脈」の血流をよくするための生活習慣
5つの方法
女性の血流は静脈が左右する第六章
[1]第二の心臓、ふくらはぎを鍛える
[2]「かんたん丹田呼吸法」でむくみを改善する
[3]足を温めて「冷却システム化」を防ぐ
[4]「三陰交」「血海」を押せば血流の泉がわく
[5]静脈の血流改善こそ、心と体に調和をもたらす
心と体の悩みは
血流がすべて解決する
血流で一つの悩みを解決すれば、他の悩みも消えていく第七章
《血流で解決1 ダイエット》下半身太りは血流でやせる
《血流で解決2 生理痛》生理痛はないのが正常です
《血流で解決3 子宮内膜症》痛みがない生活が来るとは、思わなかった
《血流で解決4 女性性》血流は自分の女性性を受け入れる力となる
《血流で解決5 更年期障害》誰でも楽に更年期を過ごせるコツ
《血流で解決6 不妊症》妊娠力とは血流である
《血流で解決7 アンチエイジング》コラーゲンは血流でつくられる
《血流で解決8 抜け毛・薄毛》髪は血のあまりである
《血流で解決9 免疫力》免疫力は血流が左右する
血流をよくすれば、
心は自由になれる
心の安定は血流でもたらされるおわりに
「心の力×体の力=実現力」
体の束縛を解けば、心の自由が手に入る
本当の自分を見つけるために、まず血流をよくする
「常識」や「普通」に振り回されない
血流とは、やせをもたらす力である
主要参考文献