現代プレミア ノンフィクションと教養 - 佐藤優・編
→ 加藤陽子 ノンフィクション100選
→ 佐藤優 ノンフィクション100選
→ 佐野眞一 ノンフィクション100選
総合ベスト10
- 『日本共産党の研究』立花隆/講談社文庫/全3巻
1922年の党成立から戦時下の弾圧による崩壊までを記録した戦前の日本共産党通史。コミンテルンの支配、リンチ事件――当時の関係者の証言も交え膨大な資料を渉猟、共産党の激動の歴史を活写する - 『戦艦大和ノ最期』吉田満/講談社文芸文庫
1945年3月29日、世界最大の不沈戦艦といわれた「大和」は呉軍港を出港した。学徒出身の若き海軍少尉として「大和」に乗り組んだ著者が巨大戦艦撃沈のさまを敗戦直後に克明に綴った手記 - 『レイテ戦記』大岡昇平/中公文庫/全3巻
太平洋戦争の“天王山”レイテ島に展開された日米両軍の死闘。膨大な資料を駆使して、精細かつ巨視的に、戦闘の姿を記録する。戦争と人間の問題を鎮魂の祈りを込めて描き切る戦記文学 - 『昭和史発掘』松本清張/文春文庫/全9巻
政界に絡む事件の捜査中に起きた「石田検事の怪死」、部落問題を真正面から取り上げた「北原二等卒の直訴」など昭和初期の埋もれた事実に光をあてる。未発表資料と綿密な取材で描く圧巻の作品群 - 『誘拐』本田靖春/ちくま文庫
東京オリンピックを翌年に控えた1963年、東京の下町で起きた幼児誘拐殺害、吉展ちゃん事件。犯人を凶行に走らせたものはなにか。貧困と高度成長が交錯する都会の片隅に生きる人間の姿を描く - 『ベスト&ブライテスト』D・ハルバースタム/朝日文庫/全3巻
ケネディ大統領が政権に招集した「最良にしてもっとも聡明な人々」。彼らエリートたちはなぜ米国をベトナム戦争の泥沼に引きずり込んだのか。賢者たちの愚行を綿密な取材で追跡する現代の叙事詩 - 『テロルの決算』沢木耕太郎/文春文庫
1960年、社会党の浅沼稲次郎委員長は17歳の右翼の少年山口二矢に刺殺された。政治の季節に邂逅した2人が激しく交錯する一瞬までを、臨場感あふれるシーンを積み重ねて物語へと結晶させた - 『苦海浄土 わが水俣病』石牟礼道子/講談社文庫
チッソの工場廃水の水銀が引き起こした文明の病・水俣病。この地に育った著者が聞き書きの形をとって患者とその家族たちの魂を物語る。極限状況を超えて光芒を放つ人間の美しさを鮮やかに描き出した - 『サンダカン八番娼館』山崎朋子/文春文庫
戦前の日本では、10歳に満たない少女たちが海外に身を売られ南方の娼館で働かされていた。天草のおサキさんから聞き取った話には「からゆきさん」の過酷な生活と無残な境涯映し出されていた - 『自動車絶望工場 ある季節工の日記』鎌田慧/講談社文庫
高度経済成長期の自動車工場。花形産業の象徴であるはずの工場では労働者が日々絶望的に続くベルトコンベア作業に追われていた。現場に飛び込み自ら働いた体験を再現したルポルタージュ。今こそ必読
加藤陽子 ノンフィクション100選
ベスト10- 『野中広務 差別と権力』魚住昭/講談社文庫
田中角栄により確立された日本型所得再分配のシステム、それを支えた野中広務伝の決定版。法律の裏面を読み抜き、相手陣営の切り崩しに果敢に挑む野中の行動と倫理に対し深い共感を覚えている自分に驚く - 『レイテ戦記』大岡昇平/中公文庫/全3巻
35歳で召集されフィリピンはミンドロ島に連れていかれた老兵が日米の史料を駆使して描いた戦。愚かな作戦であったとは書いても、愚かな日本軍であったとは書けない作者のまなざしもまた魅力的 - 『アメリカの影』加藤典洋/講談社学術文庫
アメリカの原爆製造計画が実のところ日本への投下を当初から織り込み済みであったのではないか、との問いは衝撃的であった。日本の知識人は高齢化すると何故右への情熱の虜となるのかとの問いも今なお新鮮 - 『淋しき越山会の女王』児玉隆也/岩波現代文庫
表題作は、同時に発表された立花隆『田中角栄研究 その金脈と人脈』に比べ、湿度を感じさせる文体。佐藤昭の故郷・新潟県柏崎の風土を思わせる。著者の38歳での早逝が惜しまれる - 『国家の罠』佐藤優/新潮文庫
外務省欧亜局とは別の筋で対ロ情報活動に従事してきた著者逮捕劇の政治的な舞台裏を活写。情報に関わってきた著者の力の程は、この本一冊で世の中の見方を一変させた手腕からも折り紙付 - 『阿片王 満州の夜と霧』佐野眞一/新潮文庫
上海をベースとする阿片取引で軍機密費を一人叩き出していた魔王・里見甫の生涯を追った評伝。里見が敗戦後直ちに中華航空機で日本に舞い戻れた一件自体、開拓団の悲惨さを考える時、感無量 - 『昭和天皇』(第一部、第二部)福田和也/文春文庫(文藝春秋)
「彼の人」という主語を編み出すことで、天皇にまつわる敬語表現の桎梏を脱し、史料の博捜から昭和天皇の「さびしさ」を描く。いまだ連載中だが、昭和天皇ものの決定版となるのではないか - 『不当逮捕』本田靖春/講談社文庫
検察・政界に手を突っ込み大胆に情報を得て昭電疑獄などの特ダネをものにした読売新聞社会部の伝説の記者・立松和博の栄光とその死を追う。読者は立松の姿が本田自身の姿と重なるのに気づかざるをえない - 『昭和史発掘』松本清張/文春文庫/全9巻
蹶起将校側、鎮圧側双方の新史料を博捜し、透徹した人間観察に裏打ちされた目で斬った二・二六事件像は他の追随を許さない。佐分利貞男公使の怪死、スパイMの謀略等についても秀逸(新装版) - 『夜の食国(よるのおすくに)』吉田司/白水社
日本という国が東アジアにあることの重さと宿命を、海の民・山の民の守護神・月讀命(つくよみのみこと)の系列の思想を、古典に遡りつつ、古層に沈んだ日本の周辺地域の語りから蘇らせた傑作
- 『歴史は生きている』朝日新聞取材班/朝日新聞出版
日、中、韓、台湾の歴史教科書に描かれた東アジアを、歴史家の目、記者の足で再構成した力作 - 『「中立」新聞の形成』有山輝雄/世界思想社
学術書だが、新聞研究の最も良質のもの。明治にあって新聞の中立性がいかに確立されたか - 『わが異端の昭和史』(上下)石堂清倫/平凡社ライブラリー
知識人の自伝の白眉。新人会、共産党入党、満鉄調査部。広田弘毅、近衛文麿の意外な一面も - 『完全版 年金大崩壊』岩瀬達哉/講談社文庫
自民党政権を揺るがせた一大問題を最初に暴いた人間の一人。問題の存在に気づいたことの勝利 - 『天皇陛下萬歳』上野英信/洋泉社MC新書
1932年、謀略から起こされた上海事変で爆死した3人の工兵。国家と民衆心理の裏面に迫る - 『特捜検察の闇』魚住昭/文春文庫
東京地検、住管機構という「正義」と対峙する異色の弁護士二人の戦いの軌跡を追う。何を対象とすべきかの点で最も筋の良いノンフィクション - 『ハシムラ東郷』宇沢美子/東京大学出版会
1907年、白人諷刺作家により米紙に誕生した謎の日本人・ハシムラ東郷のイメージ像を分析 - 『日本の選択』(全9巻)NHK取材班/角川文庫
元シリーズは『ドキュメント昭和』。殊に1巻目のパリ講和会議は圧巻。NHK取材班物の白眉 - 『戦争』大岡昇平/岩波現代文庫
歴史は繰り返さない。「この道はいつか来た道」と考えること自体が敗北主義、と断ずる潔さ - 『神聖喜劇』(全5巻)大西巨人/光文社文庫
下級者への上級者の責任を絶対に認めない帝国軍隊の特質について明晰なテンポで執拗に迫る - 『慰安婦問題という問い』大沼保昭, 岸俊光・編/勁草書房
アジア女性基金の理論的支柱・大沼保昭による、東大法学部ゼミにおける慰安婦問題総括 - 『折口信夫伝』岡野弘彦/中央公論新社
歌会始の選者として知られる岡野が若き日に学び、最期を看取った折口についての伝記の決定版 - 『赤紙 男たちはこうして戦場へ送られた』小澤真人, NHK取材班/創元社
富山県庄下村に焼かれずに保管されていた兵事書類から、戦争遂行事務の末端までに斬り込む - 『折口信夫全集(第22巻)』折口信夫, 折口博士記念古代研究所/中公文庫
短歌の形で表現された、関東大震災時の朝鮮人虐殺に手を下す日本人への折口の怜俐な視線が良い - 『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』梯久美子/新潮文庫
栗林忠道に光を当てた人の最初の一人。史料の博捜と見識ある視角によって書かれた実に良い本 - 『昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫』笠原和夫, 荒井晴彦, 絓秀実/太田出版
笠原の底知れぬ大きさを伝える。『大日本帝国』で「天皇陛下、お先にまいります」と言わせた怖さ - 『徳山道助の帰郷・殉愛』柏原兵三/講談社文芸文庫
「徳山道助の帰郷」は芥川賞受賞作。著者の祖父で第百一師団長であった伊東政喜にとっての日中戦争の苛酷さを活写 - 『イラク生残記』勝谷誠彦/講談社
「フセインの穴」確認のため現地へと向かう著者。イラクの対日感情の良さの理由など読ませる - 『武田泰淳伝』川西政明/講談社
泰淳、埴谷雄高などと同じ空間を生きてきた著者による、日記、手紙、作品全部を論じた決定版 - 『変人 埴谷雄高の肖像』木村俊介/文春文庫
かつて平凡社から刊行されて絶版となっていた著作の、埴谷生誕百年を期しての文庫化 - 『メタボラ』桐野夏生/文春文庫(朝日新聞社)
家族崩壊、大学中退、生活の継続さえ危ぶまれた工場派遣から逃れて再生を図る若者の物語 - 『阿片帝国・日本』倉橋正直/共栄書房
戦前期にあって日本は麻薬の生産大国であり密輸大国であった事実を史料から解明した - 『日本海軍艦艇写真集・別巻 戦艦大和・武蔵』呉市海事歴史科学館・編, 戸高一成・監修/ダイヤモンド社
艦内の写真、図面、乗艦員の集合写真が貴重。大和ミュージアム館長による丁寧な仕事 - 『戦士の肖像』神立尚紀/文春文庫
戦場で死ぬはずだった、旧帝国海軍軍人24名の「軍神」ならぬ「戦士」の戦後の軌跡を追う - 『日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか』小谷賢/講談社選書メチエ
情報分析のまずさには定評のある日本だが、戦前の陸海軍はどうだったか。膨大な史料から辿る - 『イブラヒム、日本への旅』小松久男/刀水書房
イスラーム学の碩学が描く、ロシア生まれのトルコ人のつなぐロシア、アジア、イスラーム - 『日本とオーストラリアの太平洋戦争』鎌田真弓/御茶の水書房(注:「小宮まゆみ/吉川弘文館」は誤記か?)
日本側が太平洋戦争時にオーストラリアに与えた恐怖と損害について初めて正しく想起させる本 - 『テロルの決算』(新装版)沢木耕太郎/文春文庫
浅沼稲次郎暗殺事件を扱う。刺した山口二矢、刺された浅沼の像が丁寧な取材で蘇り交錯する - 『小高へ 父 島尾敏雄への旅』島尾伸三/河出書房新社
写真家にして島尾敏雄・ミホの子息がたどる、小説に魂を捧げた家族の物語。いい写真家です - 『選挙違反の歴史』季武嘉也/吉川弘文館
1890年の第1回から現代までの衆院選挙につき、違反の華・買収から票の割当までの全概要 - 『グロテスクな教養』高田里惠子/ちくま新書
「君たちはどう生きるか」との問いを独占してきた日本の「男の子」たちの教養主義を斬る - 『エレクトラ』高山文彦/文春文庫
父への憎悪を描き芥川賞に輝いた中上健次。だが母殺しこそがテーマではなかったかと問う評伝 - 『仕事と日本人』武田晴人/ちくま新書
「働く」ことの意味や性格が近世から近現代へと激しく変容してきた点につき経済学者が迫る - 『陸は海より悲しきものを』竹西寛子/筑摩書房
40代の与謝野晶子の歌集『草の夢』に頻出する「悲し」との詞に迫った評伝 - 『内なるシベリア抑留体験』多田茂治/文元社
8年のシベリア抑留を堪えた詩人・石原吉郎、心優しき戦友・鹿野武一、菅季治の軌跡を追う - 『天皇と東大』(全4巻)立花隆/文春文庫(文藝春秋)
副題は『大日本帝国の生と死』。官僚も輩出したが右翼知識人も多く輩出した東大の実像を描く - 『赤めだか』立川談春/扶桑社文庫(扶桑社)
落語は「人間の業の肯定」と喝破した談志に出会ったが百年目。弟子が描く師匠モノの傑作 - 『ボクの満州』中国引揚げ漫画家の会・編/亜紀書房
副題は「漫画家たちの敗戦体験」。ちばてつや、赤塚不二夫、北見けんいちらの引揚げ体験 - 『東京大学の学徒動員 学徒出陣』東京大学史史料室・編/東京大学出版会
戦没者の多い学部は、医学、法学、経済の順。戦争もまた「役に立つ」学生から奪ってゆくのだ - 『李陵』(原稿復刻版)中島敦/郡司勝義・校訂/文治堂書店
喘息発作で不遇のうちに早世した中島敦の原稿の校閲にあたった郡司の迫力が伝わる - 『満州国皇帝の秘録』中田整一/文春文庫(幻戯書房)
満州国皇帝溥儀と関東軍司令官との会見録をべースに満州国の歴史の光と影を再構成 - 『盗聴 二・二六事件』中田整一/文春文庫(文藝春秋)
二・二六事件に際して戒厳司令部が極秘に事件関係者の電話通信を傍受していた事実を明らかにした傑作 - 『むらぎも』中野重治/講談社文芸文庫
1924年東京帝大文学部独文科に入学した中野が活写する26年当時の東大新人会周辺の学生群像 - 『柳宗悦』中見真理/東京大学出版会
西欧の模倣でない、文化的に自立した日本を望んだ柳の、民芸の枠を超えた思想全般に迫る - 『歌集 形相』南原繁/岩波文庫(青167-1)
敗戦後の東大総長・南原の詩集。「人間の常識を超え学識を超えておこれり日本世界と戦ふ」 - 『最強のプロ野球論』二宮清純/講談社現代新書
広島カープ・前田智徳の偉さがよくわかる。野球の見方の技法を創造した本 - 『日本領サイパン島の一万日』野村進/岩波書店
出撃基地としての重要性から日米戦の要の一つとなったサイパン。二つの家族の歴史から描く - 『千年、働いてきました』野村進/角川oneテーマ21
日本にはとんでもない老舗が実は多く存在する。百年企業ならぬ千年企業も - 『戦場特派員』橋田信介/実業之日本社
ベトナム報道、大韓航空機爆破事件、湾岸戦争時のイラク報道で名を馳せ逝去した橋田の遺作 - 『暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏』長谷川毅/中央公論新社
第二次大戦終結時の、日本という場所の地政学的・地理的意味の大きさが骨身にしみてわかる本 - 『戦線』林芙美子/中公文庫BIBLIO
表題作よりは同時収録のルポ「凍れる大地」がよい。戦時中の厳冬期、北満に生きる人々を活写 - 『大本襲撃 出口すみとその時代』早瀬圭一/新潮文庫(毎日新聞社)
昭和戦前期の宗教弾圧は思想事件に比べて忘却される。獄中6年の出口すみの生涯を追う - 『鉄道ひとつばなし』原武史/講談社現代新書
本作品は将来、ギネスに載るはず。07年には続刊も刊行。『大正天皇』『可視化された帝国』も好著 - 『輝ける文士たち』樋口進/文藝春秋
文春初代カメラマンの作品集。谷崎、川端、志賀が花札の猪、鶴、鹿のように見える不思議 - 『9・11と日本外交』久江雅彦/講談社現代新書
湾岸戦争時に莫大な財政支援をしながら、感謝国リストに日本の名前はない。その裏面を描く - 『米軍再編』久江雅彦/講談社現代新書
共同通信政治部記者が、米陸軍第一軍団司令部の座間移転をめぐる日米の攻防を詳細に描く - 『OTHER VOICES 東大全共闘・68‐70』平沢豊/春風社
東大紛争あるいは闘争の際、東大文学部仏文学科にいた平沢が撮った写真集。とても良い - 『キャパになれなかったカメラマン』(上下)平敷安常/講談社文庫(講談社)
ベトナム戦争からカンボジア内戦にかけ、ABCテレビカメラマンとして活躍し生還を果たした男の記録 - 『乃木希典』福田和也/文春文庫
天皇をアリバイとしないナショナリティについて考え続ける著者がその空白を埋める役割を負った乃木を描いた評伝 - 『国防婦人会 日の丸とカッポウ着』藤井忠俊/岩波新書
満州事変から日中戦争にかけて市町村で増加した団体は女性団体だけ。戦争は女性を組織化した - 『松本清張の残像』藤井康栄/文春新書 290
清張の近代史ものの傑作『昭和史発掘』の企画・調査にあたった伴走者の回想。まさに名コンビ - 『明治の東京計画』藤森照信/岩波現代文庫
建築探偵の原点。維新から明治初年、新時代の都市建築をめぐる諸構想の交錯が織りなすドラマ - 『昭和陸軍の研究』(上下)保阪正康/朝日文庫
陸軍軍人の特質について、500人に及ぶ関係者に会って踏査した名品 - 『転がる香港に苔は生えない』星野博美/文春文庫
星野の描くものは着眼が非凡でありながら、まなざしが温かい。返還前後の香港滞在記 - 『大英帝国の外交官』細谷雄一/筑摩書房
若き外交史家がカー、ニコルソン、バーリンなど個性豊かな英外交官像を実証的に豊かに描く - 『東京ディズニーリゾート便利帖』(第3(2)版)堀井憲一郎/新潮社
とにかく足でかせいで正確な情報を伝えている。この本の福音に与った家族は数知れず。08年にはポケットガイド(文庫版)も - 『落語の国からのぞいてみれば』堀井憲一郎/講談社現代新書
落語に登場する必須のお題についての蘊蓄話。寄席に通った時間と回数を思えば涙 - 『戦後の巨星 二十四の物語』本田靖春/講談社
1984〜85年の本田と巨星たちとの対談。本田が萩原健一、桂三枝、趙治勲に何を語らせたか - 『偽装 調査報道・ミドリ十字事件』毎日新聞大阪本社編集局遊軍・編/晩声社
脱記者クラブを掲げ、取材グループを結成した記者たちが調査報道のお手本を示したもの - 『安保 迷走する革新』毎日新聞政治部/角川文庫
1975年、中ソ対立を背景として中国は反安保の旗印を降ろす。社会党外交の混迷を追ったルポ - 『越境者 松田優作』松田美智子/新潮文庫
数々の名作を残し早逝した名優・松田優作の姿を、高校時代の手紙などから元妻が丹念に描く - 『ラスキとその仲間 「赤い30年代」の知識人』水谷三公/中公叢書
1930年代、英国知識人に与えたソ連というシステムの衝撃を思想史からシニカルに迫る - 『食肉の帝王』溝口敦/講談社+α文庫
タブーの塊にして食肉業界のドン・浅田満が、狂牛病の一件で国家から金を奪う工程が鮮明に。講談社ノンフィクション賞受賞作 - 『追憶の作家たち』宮田毬栄/文春新書
元「海」編集長が追想する、作家・埴谷雄高、島尾敏雄、松本清張、大岡昇平らの面影 - 『虹色のトロツキー』安彦良和/中公文庫コミック版
ご存知、ガンダムの画家による、昭和初年の日本、中国、ソ連の三つ巴の中の満蒙が描かれる - 『民藝四十年』柳宗悦/岩波文庫 青 169-1
景福宮の光化門を取毀しから救った柳は、日本人が朝鮮人の立場に立ったならと想像できた人物 - 『新装版 戦中派不戦日記』山田風太郎/講談社文庫
軍医となって死ぬための促成教育を受けていた山田青年の、読書三昧と戦時下空襲の日々の実録 - 『希望格差社会』山田昌弘/ちくま文庫
将来に希望がもてる人とそうでない人に日本が二極化することを明快に指摘した書 - 『反貧困 「すべり台社会」からの脱出』湯浅誠/岩波新書
日本の母子家庭の就労率は84%を超え世界一勤勉だが、これらの層を救えない行政の貧困を抉る - 『英国に就て』吉田健一/ちくま学芸文庫
英国人魂を怜俐に分析。相手になりきる想像力があって初めてその息の根を止められるのだと - 『戦艦大和ノ最期』吉田満/講談社文芸文庫
東大法学部から学徒出陣して大和に乗艦し、奇跡的に生還を果した後に、巨艦沈没のさまを描く - 『毒ガス戦と日本軍』吉見義明/岩波書店
旧日本軍の毒ガス戦・化学兵器戦に関する史料を博捜し、日中戦争期の毒ガス使用の実態に迫る - 『日本軍「山西残留」』米濱泰英/オーラル・ヒストリー企画
終戦後も国共内戦のため残留させられた日本兵が山西省には多数いた。山下正男少尉の戦後を追う - 『バイオポリティクス』米本昌平/中公新書
先端医術・生物技術の配分をめぐる政治に権力・産業界・研究者・個人はいかに対処すべきか - 『検証 戦争責任』(上下(Ⅰ・Ⅱ))読売新聞戦争責任検証委員会・編/中公文庫(中央公論新社)
主筆の渡邉恒雄の提唱により置かれた委員会による検正作業。靖国批判の根拠として貴重 - 『平泉澄 み国のために我つくさなむ』若井敏明/ミネルヴァ書房
戦中期、東京帝国大学文学部において皇国史観の中心的人物として振る舞った平泉の学問と人生 - 『渡辺一夫 敗戦日記』渡辺一夫/串田孫一, 二宮敬・編/博文館新社
戦争最末期を日仏両語で。廃墟・東京を「ユトリロの絵のごとし」と記す際の心情を思えば涙が
- 『歴史和解と泰緬鉄道』ジャック・チョーカー/小菅信子ほか解題/朝日選書
枕木一本に一人の死者、との悪名高い鉄道建設に携わった英国人捕虜が描いた収容所の日々 - 『誠実という悪徳 E.H.カー 1892-1982』ジョナサン・ハスラム/角田史幸, 川口良, 中島理暁・訳/現代思潮新社
一見、英国的知識人の典型に見えるE・H・カーのアウトサイダーぶりを実証した伝記の決定版 - 『ベスト&ブライテスト』(上中下)デイヴィッド・ハルバースタム/浅野輔・訳/朝日文庫
ベトナム戦争拡大に手を貸した多くの政治当局者へインタビューし、ケネディ政権の影の部分を描いた力業は不滅のもの。戦後のアメリカにとって中国喪失体験がいかに大きかったかが身にしみてわかる
佐藤優 ノンフィクション100選
ベスト10- 『露国及び露人研究』大庭柯公/中公文庫
ロシア社会に深く入り込み、ロシア人の気質と内在的論理を解明した名著。ロシアの帝国主義が、独自の地政学から生じていることを的確に指摘。ロシア事情について本書の水準を超える著作は未だ現れていない - 『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』カール・マルクス/平凡社ライブラリー
代表を選出する人々と代表する人の間に客観的連関が存在しないことを見事に描き出している。本書を読めば、小泉純一郎氏に対して国民が熱狂し、弱肉強食の新自由主義路線が日本社会に定着した筋道がわかる - 『日の丸アワー』池田徳真/中公新書 545
太平洋戦争中、敵軍捕虜を使った謀略放送に関する回想記。日本独自のインテリジェンスを学ぶのに最適。著者は、徳川最後の将軍慶喜の孫で、英オックスフォードで旧約聖書神学を学んだ変わり種。副題『対米謀略放送物語』 - 『甘粕正彦 乱心の曠野』佐野眞一/新潮文庫(新潮社)
軍隊という巨大官僚組織に翻弄された甘粕正彦の姿が見事に描かれている。あの時代に生まれていれば、評者も甘粕のような人生を送ったのではないかと思い、背筋に寒気が走った - 『野中広務 差別と権力』魚住昭/講談社文庫
被差別部落出身の保守政治家で、同化主義者であるにもかかわらず、人生の節目節目で差別に直面した野中氏を通じ、嫉妬、差別を克服することができない日本の政治の病理を見事に描いている - 『日本共産党の研究』(全3巻)立花隆/講談社文庫
日本共産党の公式党史よりもずっと説得力がある。日本共産党が、天皇制と対峙する過程で、日本の国家と社会を特定の鋳型にあてはめ、日本はこの鋳型から抜け出せないと見なす思想の原形がわかる - 『窮乏の農村 踏査報告』猪俣津南雄/岩波文庫 白 150-1
貧困問題に関する優れたルポルタージュ。コミンテルン(共産主義インターナショナル)の方針と一線を画し、実地調査と自らの頭で考えるという猪俣の手法に、労農派マルクス主義の良心を見る - 『相撲島 古典相撲たぎつ日』飯田辰彦/ハーベスト出版
二番勝負で、最初の勝利者が二回目は「勝ちを譲る」古典相撲に隠岐の島(島後)の地域共同体を活性化するとともに紛争を避ける知恵を見る。竹島問題にもこの方法が応用できると思う - 『モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」』エフライム・ハレヴィ/河野純治・訳/光文社
ヨルダンとの和平交渉のように利害が敵対する陣営に信頼できる友人をもつことの重要さがわかる。また、情報や分析は、それを政治的に使う意志を国家が持つときのみ、真価を発揮する - 『地上げ屋 突破者それから』宮崎学/幻冬舎アウトロー文庫
抜群に面白い。金銭欲の前で人間が変貌する姿に戦慄した。特に左翼活動家が金銭を崇拝するようになると、おそろしい性格に変貌することがよくわかる。それとともに悪徳弁護士の怖さがよくわかった
- 『アーロン収容所』会田雄次/中公文庫
西欧、特にイギリスに根強く残る人種主義についての優れた洞察。日本人がこれからの生き残りについて考える場合の必読書 - 『日本の公安警察』青木理/講談社現代新書
特高警察の伝統がいまも公安警察の中に生きていることがよくわかる - 『国策捜査 暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』青木理/角川文庫(金曜日)
検察官僚が独りよがりの正義感に基づいて「きれいな社会」をつくろうとする恐怖がよくわかる - 『納棺夫日記』青木新門/文春文庫
日本人の死生観について鋭く切り込んでいる - 『プロパガンダ戦史』池田徳眞/中公文庫(中公新書)
英国流インテリジェンスの特徴と優秀さを解き明かす名著 - 『逆転 アメリカ支配下・沖縄の陪審裁判』伊佐千尋/岩波現代文庫
米軍の施政権下に置かれた沖縄での陪審裁判の貴重な記録。裁判員制度について考えるよい資料でもある - 『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』磯田道史/新潮新書
明治期の官僚が経済的にいかに恵まれていたかを本書ではじめて知った - 『天皇制と部落差別 権力と穢れ』上杉聰/解放出版社
部落差別を上下関係でなく、内側と外側という観点から分析している名著 - 『渡邉恒雄 メディアと権力』魚住昭/講談社文庫
日本共産党型の前衛思想が渡遇氏の原動力になっていることがよくわかった - 『特捜検察の闇』魚住昭/文春文庫
検察の正義がいかに歪んだものであるかがよくわかる - 『日本のファシズム』栄沢幸二/ニュートンプレス(教育社歴史新書)
大川周明、内田良平の思想をファシズムに括ることには無理があるが、入門書としてお勧め - 『復興亜細亜の諸問題』大川周明/中公文庫
旧ソ連支配下の中央アジアに関する洞察が鋭い - 『沖縄の日本軍 久米島虐殺の記録』(新版)大島幸夫/新泉社
海軍守備隊がなぜ住民虐殺を行ったかについて、詳細な聞き取り調査で真実を明らかにす - 『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』梯久美子/新潮文庫
硫黄島の戦いにおける日本軍の合理主義がよくわかった - 『ワイマール期ベルリンの日本人 洋行知識人の反帝ネットワーク』加藤哲郎/岩波書店
後発資本主義国のインテリの苦悩がよく表れている - 『戦争の日本近現代史』加藤陽子/講談社現代新書
「内にデモクラシー、外に帝国主義」という切り口から日本の近代史をわかりやすく説いている - 『ポケットは80年代がいっぱい』香山リカ/バジリコ
東京の80年代と、小生が過ごした京都の80年代の差異が面白かった - 『貧乏物語』河上肇/岩波文庫 青132-1
貧困問題に関するマルクス主義者になる以前の河上の富者から貧者への再分配という発想から学ぶべきことが多い。08年新日本出版社版も刊行 - 『日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか』小谷賢/講談社選書メチエ
戦前・戦中の日本軍のインテリジェンス活動についてまとめた良書。日本のインテリジェンス体制整備について考える際の必読書 - 『スターリン秘録』斎藤勉/産経新聞ニュースサービス
スターリン主義の恐怖について、ソ連時代末期から新生ロシアになった頃に公開された新資料をよく読み込んだ力作 - 『マルクス伝 マルクス・エンゲルス選集 第13巻』向坂逸郎/新潮社
日本人が書いたマルクス伝ではいちばん魂が入っている - 『抵抗人名録 私が選んだ77人』佐高信/金曜日
城山三郎に対する評価が抜群に面白い。毒舌家の佐高氏が、心優しき人であることが伝わってくる - 『東電OL殺人事件』佐野眞一/新潮文庫
ドストエフスキーの小説の世界で生きている人々が現実に存在することがよくわかった - 『阿片王 満州の夜と霧』佐野眞一/新潮文庫
里見甫がアヘン依存症であったことを示唆するラストが実に見事で、背筋が凍る思いがした - 『テロルの決算』沢木耕太郎/文春文庫
当初の山口二矢への著者の思いが徐々に浅沼稲次郎に移っていくところが面白い - 『密約 外務省機密漏洩事件』澤地久枝/岩波現代文庫
国家の嘘を男女の肉体関係に矯小化していく国家の狡猾さに戦慄した。初版は74年中央公論社刊 - 『ドキュメント死刑囚』篠田博之/ちくま文庫(ちくま新書)
死刑制度の不毛さがよくわかる - 『秘話 陸軍登戸研究所の青春』新多昭二/講談社文庫
インテリジェンスの観点からも、戦前・戦中の天才教育の観点からも興味深い回想録 - 『ソ連は社会主義国か』新谷明生/大安
毛沢東派共産主義者の立場からであるが、旧ソ連体制の宿痾を的確に指摘している - 『闇権力の執行人』鈴木宗男/講談社+α文庫
外務省がどういう組織かよくわかる - 『霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」』高橋洋一/文春新書
数学が得意だと、他の人に見えないものがよく見えることを示した痛快書 - 『大学という病 東大紛擾と教授群像』竹内洋/中公文庫
知識人の内部抗争が、時代をいかに病んだ方向に導いたかがよくわかる - 『中核VS革マル』(上下)立花隆/講談社文庫
文字通り、命がけで書いた名著。中核、革マル双方の内在的論理を見事に表現している - 『ぼくはこんな本を読んできた』立花隆/文春文庫
読書案内に名を借りた思想的自叙伝 - 『天皇と東大』(全4巻)立花隆/文春文庫(文藝春秋)
東大論として秀逸 - 『三池闘争』塚元敦義/労大新書
総資本対総労働という三池闘争の模様を戦闘的労働組合の視点から描いている - 『丁家の人びと』丁如霞/バジリコ
蔣介石とつながるエリート一家の共産主義体制下での苦悩を感動的に描いている - 『北方領土交渉秘録 失われた五度の機会』東郷和彦/新潮文庫(新潮社)
外交秘密を一部暴露し、北方領土交渉の経緯を交渉当事者が明らかにした画期的書 - 『詐欺の心理学』取違孝昭/講談社ブルーバックス
見事な詐欺は相手から感謝されることすらあることがよくわかった。外交への適用を考えるべき - 『西ドイツの社会民主主義』仲井斌/岩波新書
旧西ドイツの社会民主党にもマルクス主義の影響が隠れて入っていることを気づかせてくれる名著 - 『オバマの危険 新政権の隠された本性』成澤宗男/金曜日
イスラエルとオバマの関係を切り口にしたことにより、アメリカ帝国主義の現実がよくわかる - 『オホーツク諜報船』西木正明/現代教養文庫(社会思想社)
ソ連のスパイをしても、決してよい人生を送れるわけではないことが行間からよく伝わっている - 『プロメテウスの墓場 ロシア軍と核の行方』西村陽一/小学館文庫
ソ連崩壊前後のロシアの核管理がどれだけ不安であるかがわかった - 『警視庁捜査二課』萩生田勝/講談社+α文庫(講談社)
外務省職員による内閣官房報償費(機密費)詐取事件について初めて明らかにされた重要事項が興味深かった - 『昭和天皇』原武史/岩波新書
昭和天皇の天照大神信仰がどのようなものであるかをわかりやすく説明している - 『大正天皇』原武史/朝日文庫(朝日選書)
大正天皇に立憲君主国における理想的聖帝の姿を見ている - 『滝山コミューン一九七四』原武史/講談社文庫(講談社)
原氏の少年時代の回想録。教師に押しつけられた平等や競争のグロテスクさが見事に表現されている - 『ロシア正教の千年』廣岡正久/NHKブックス
ロシア正教の政治的機能がよくわかる - 『強権と不安の超大国・ロシア』廣瀬陽子/光文社新書
コーカサス地域の不安定な社会情勢がよくわかる - 『エンゲルス論』廣松渉/ちくま学芸文庫
初期エンゲルスの評伝として傑出している。マルクス主義がエンゲルス主導で形成されたことがよくわかる - 『セブン‐イレブンの正体』古川琢也、金曜日取材班/金曜日
コンビニの店長がフランチャイズ制度のもとでいかに搾取、収奪されているかがよくわかる - 『私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言』外間守善/角川ソフィア文庫(角川学芸出版)
沖縄戦で取り残された部隊の悲喜劇を淡々と記述していることが独特な感動を生み出している - 『徹底抗戦』堀江貴文/集英社文庫(集英社)
ライブドア事件に関して堀江貴文氏が違法性認識をまったくもっていないことがよくわかる - 『松崎明 秘録』松崎明/聞き手・宮崎学/同時代社
動労、JR総連という戦闘的労働運動の内在的論理が見事に示されている - 『モスクワにかける虹 日ソ国交回復秘録』松本俊一/朝日選書(朝日新聞社)
1956年日ソ共同宣言を締結した外交官による優れた当事者手記 - 『ヒトラーの特攻隊 歴史に埋もれたドイツの「カミカゼ」たち』三浦耕喜/作品社
ナチス・ドイツにも死を前提とした「体当たり攻撃」を行う特別部隊が存在したことを丹念に発掘している - 『近代の奈落』宮崎学/幻冬舎アウトロー文庫
部落解放思想とアナーキズムの関連を興味深く描いている - 『突破者 戦後史の陰を駆け抜けた50年』(上下)宮崎学/新潮文庫
日本共産党の「もうーつの顔」、すなわち武装部隊の論理が興味深い - 『歪んだ正義 特捜検察の語られざる真相』宮本雅史/角川文庫
国策捜査の内在的論理を解明した名著 - 『服従と抵抗への道 ボンヘッファーの生涯』森平太/新教出版社
ヒトラー暗殺陰謀に関与し、処刑された天才神学者の生涯をわかりやすく描いている - 『死刑弁護人 生きるという権利』安田好弘/講談社+α文庫 G175-1
罪を犯す者を社会がどう受けとめるかを安田氏が真剣に考えていることがよくわかる - 『マリコ』柳田邦男/新潮文庫
日米開戦をめぐる物語をつくった古典的名著 - 『社会主義運動半生記』山辺健太郎/岩波新書
マルクス主義から外れた高畠素之などについての寸評が面白い - 『ブラック・プロパガンダ 謀略のラジオ』山本武利/岩波書店
プロパガンダの技法について解明した名著。米国の謀略手法の稚拙さが目につく - 『戦艦大和ノ最期』吉田満/講談社文芸文庫
大和の運命と自己史を見事に重ねている - 『戦艦武蔵』吉村昭/新潮文庫
武蔵が造られる過程に焦点をあて、合理性と狂気が並存できることを見事に描いた - 『マルクスと批判者群像』良知力/平凡社ライブラリー
マルクス主義はへーゲル左派ともちょっとした違いしかもたないが、そのちょっとした違いが本質的に重要なことがわかる - 『「アメとムチ」の構図 普天間移設の内幕』渡辺豪/沖縄タイムス社
身勝手な防衛官僚の論理が浮き彫りになっている - 『美学の破壊 ピーサレフとニヒリズム』渡辺雅司/白馬書房(白夜叢書)
ピーサレフの評伝を通じ、徹底したエゴイズムが逆説的に社会性をもつことを見事に描き出す
- 『機密指定解除』トーマス・B・アレン/佐藤正和・訳/日経ナショナルジオグラフィック社
無味乾燥な公文書からインテリジェンス活動を見事に描いている - 『ムッソリーニ イタリア人の物語』ロマノ・ヴルピッタ/中公叢書
知識人ムッソリーニの人柄を強調し、ファシズムの魅力を伝えている - 『イギリスにおける労働者階級の状態』(上下)フリードリヒ・エンゲルス/浜林正夫・訳/新日本出版社
ワーキング・プア問題が、歴史の反復現象であることがよくわかる - 『世俗都市』ハーヴィ・コックス/塩月賢太郎・訳/新教出版社
米国で1960年代半ばに新自由生義社会の肯定面について神学的に理論づけたベストセラー - 『ロシア 崩れた偶像・厳粛な夢』(上下)デービッド・シプラー/川崎隆司・訳/時事通信社
ユダヤ人ネットワークを用いてロシア社会に見事に入り込んでいる - 『ワーキング・プア アメリカの下層社会』デイヴィッド・シプラー/森岡孝二、川人博、肥田美佐子・訳/岩波書店
新自由主義がもたらすのが格差にとどまらず絶対的貧困であることを鋭くとらえている - 『日本大使公邸襲撃事件 占拠126日と最後の41秒間』ルイス・ジャンピエトリ/沢田博・訳/イースト・プレス
人質になったペルー副大統領が、テロリストの素顔を感情を排して描いているところが感動的 - 『ロシア人』(上下)ヘドリック・スミス/高田正純・訳/時事通信社
旧ソ連時代の反体制知識人によくここまで食い込めたものだと感心した - 『新・ロシア人』(上下)ヘドリック・スミス/飯田健一・訳/日本放送出版協会
ロシアの寡占資本家(オリガルヒヤ)の出現を見通した名著 - 『カーブボール スパイと、嘘と、戦争を起こしたペテン師』ボブ・ドローギン/田村源二・訳/産経新聞出版
イラクのペテン師青年にドイツもアメリカも馴された理由を丹念に解明している - 『ミュンヘン オリンピック・テロ事件の黒幕を追え』マイケル・バー=ゾウハー、アイタン・ハーバー/横山啓明・訳/ハヤカワ文庫NF
テロリストに逃げ場はないことを示した名著 - 『KGB ソ連秘密警察の全貌』ジョン・バロン/リーダーズダイジェスト・訳/日本リーダーズダイジェスト社
反共的偏見がともなっているがKGB(ソ連国家保安委員会)の全体像を明らかにした画期的な本 - 『完訳 東方見聞録』(全2巻)マルコ・ポーロ/愛宕松男・訳注/平凡社ライブラリー
当時の世界像で描かれたノンフィクションとして読むと面白い。日本は黄金の国であるとともに日本人は「人食い」の習慣があるという記述にオリエンタリズムが端的に表れている - 『帝国主義論』(上下)ジョン・A・ホブスン/矢内原忠雄・訳/岩波文庫 白 133-1
金融資本主義が生き残るためには帝国主義の道しかないことがよくわかる。レーニンの『帝国主義論』の種本 - 『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』(全2巻)ジョン・J・ミアシャイマー、スティーヴン・M・ウォルト/副島隆彦・訳/講談社
米国内部で反ユダヤ主義が台頭していることがよくわかる - 『ヨムキプール戦争全史』アブラハム・ラビノビッチ/滝川義人・訳/並木書房
「たとえ全世界を敵に回してでも生き残る」というイスラエル国家の精神がよくわかる - 『ニュースになったネコ』マーティン・ルイス/武者圭子・訳/ちくま文庫
ネコをめぐるノンフィクションの傑作 - 『ザ・プーチン 戦慄の闇』スティーヴ・レヴィン/中井川玲子、櫻井英里子、三宅敦子・訳/CCCメディアハウス(阪急コミュニーケーションズ)
欧米から見たロシア像を知るために最適の書 - 『スパイのためのハンドブック』ウォルフガング・ロッツ/朝河伸英・訳/ハヤカワ文庫NF 79
インテリジェンスの世界の内幕がかなり正確に描かれている - 『シャンペン・スパイ』ウォルフガング・ロッツ/大内博・訳/ハヤカワ文庫NF 116
「モサド」(イスラエル諜報特務庁)の伝脱的工作員によるユーモアたっぷりの半生記。特にエジプトでの獄中生活の部分が面白い - 『CIA秘録 その誕生から今日まで』(上下)ティム・ワイナー/藤田博司、山田侑平、佐藤信行・訳/文春文庫(文藝春秋)
公文書、実名インタビューを通じ、米国中央情報局(CIA)の歴史を描いた傑作
佐野眞一 ノンフィクション100選
ベスト10- 『西南役伝説』石牟礼道子/朝日選書
西南戦争を目撃した人びとの聞き書き。『苦海浄土』の原点がここにある。知られざる異教徒弾圧の歴史も書き込まれており、圧倒される。近代の奈落を彷徨いながら、魂の救済の在り処を求めた光の物語である - 『人とこの世界』開高健/ちくま文庫
うるさ型の作家、詩人、画家の内面に肉薄した人物論の最高傑作。開高には、『ずばり東京』、『ベトナム戦記』などの傑作があるが、代表作というなら、これ。インタビューと論評のコラボレーションもみごとである - 『スパイM 謀略の極限を生きた男』小林峻一、鈴木隆一/文春文庫
日本共産党のタブーに挑んだ意欲作。立花隆『日本共産党の研究』がやや評論的な記述なのに対し、こちらはよりドラマチック。飯塚盈延という謎めいた男を追及するドラマは、どんなスパイ小説より刺激的である - 『鞍馬天狗のおじさんは』竹中労/ちくま文庫
靫馬天狗役で一世を風靡した怪優・嵐寛寿郎の掬(きく)すべき芸談。哀歓こもごもの色ざんげも秀逸である。ノンフィクションには、こんな手法もあったのかと驚くこと必至。サブタイトルは『聞書アラカン一代』 - 『紀州 木の国・根の国物語』中上健次/角川文庫
自分の肉体を切り刻むようにして故郷の被差別部落を踏破したルポルタージュ。ときに饒舌に、ときに悲痛に自分の出自を語る世界は、読む者を圧倒せずにはおかない。中上文学の原点が、ここにある - 『誘拐』本田靖春/ちくま文庫
高度経済成長の恩恵にあずかれなかった男がたどった運命の結末。犯罪者をただ断罪するのではなく、罪を犯さざるを得なかった男に注がれた著者の温かなまなざしが日本社会への、痛烈な批評となっている - 『昭和史発掘』松本清張/文春文庫/全9巻
白眉は二・二六事件の発端から終焉までの人間ドラマ。とりわけ皇居に侵入した青年将校が、警視庁を鎮圧した仲間に手旗信号を送ろうとして失敗するくだりは、圧巻。歴史を肉体化させるとは、こういう作業をいう(新装版) - 『忘れられた日本人』宮本常一/岩波文庫
名もなき庶民のライフヒストリー。もし宮本が記録しなければ、この哀切で逞しい民衆の物語はこの世に存在しなかった。とりわけ、「土佐源氏」と「梶田富五郎翁」は、何度読んでも胸しめつけられ、心洗われる - 『戦艦大和ノ最期』吉田満/講談社文芸文庫
太平洋戦争末期、一戦艦と運命を共にした将兵の悲劇を神話的表現にまで高めた傑作。戦争の愚かさを描いて、これを超える作品は、おそらく今後も出てこないだろう。戦艦大和が、一人の人格として立ち上がってくる - 『逝きし世の面影』渡辺京二/平凡社ライブラリー 552
幕末・明治に日本を訪れた外国人の目に映ったこの国の原像。日本の庶民はこれほど清潔でモラリスティックな民族だったのか。ここには西欧文明の波に洗われる前の日本と日本人が活写されている
- 『氷川清話』勝海舟/講談社学術文庫
自由闊達に語った幕末の回顧談。縦横無尽な人物批評、時代批評が痛快 - 『特命全権大使 米欧回覧実記』久米邦武・編/田中彰・校注/岩波文庫 青141
明治4年の岩倉使節団が米欧の息吹にふれる記述は、いまも新鮮である。05年に慶雁義塾大学出版会版も刊行 - 「航西日記」/『渋沢栄一滞仏日記』所収 渋沢栄一/東京大学出版会(日本史籍協会叢書)
渋沢栄一がパリ万博に行くまでの航海日記。幕末版「何でも見てやろう」 - 『雨夜譚』渋沢栄一/岩波文庫
渋沢栄一自身による自叙伝。維新のエネルギーが伝わってくる - 『福翁自伝』(新版)福沢諭吉/昆野和七・校訂/角川ソフィア文庫
近代日本の激動期に生きた福沢諭吉の傑作自伝 - 『遠野物語・山の人生』(改版)柳田国男/ワイド版岩波文庫
「平地人をして戦慄せしめよ」。冒頭の蔵言の破壊力 - 『カール・マルクス その生涯と思想の形成』E・H・カー/石上良平・訳/未来社
マルクス主義者によらない初のマルクス伝 - 『ロシア革命史』(全5巻)レフ・トロツキー/藤井一行・訳/岩波文庫
ロシア革命の金字塔的記録 - 『完訳 ファーブル昆虫記』ジャン=アンリ・ファーブル/奥本大三郎・訳/集英社
観察眼こそノンフィクションの王道。それを痛切に教えてくれる。4月20日時点で、7巻まで刊行 - 『ロウソクの科学』マイケル・ファラデー/三石巌・訳/角川文庫
ロウソクというありふれた材料を使った科学入門書の古典 - 『コン・ティキ号探検記』トール・ヘイエルダール/水口志計夫・訳/ちくま文庫
南太平洋を筏で渡った海洋冒険ノンフィクションの傑作 - 『さまよえる湖』スヴェン・ヘディン/鈴木啓造・訳/中公文庫BIBLIO
中央アジアの塩湖ロブノールの探検記。伝説を実証する行動力に脱帽。05年白水社より新装版単行本(関楠生訳)刊行 - 『世界をゆるがした十日間』(上下)ジョン・リード/原光雄・訳/岩波文庫
ロシア革命を細大漏らさず記録したルポルタージュの古典
- 『日本海のイカ』足立倫行/新潮文庫
イカから見た日本論、日本人論。境港出身の著者の愛着がにじむ - 『異形の王権』網野善彦/平凡社ライブラリー
後醍醐天皇の異形性を通して中世の変容を描く。網野史学のエッセンス。07年岩波書店『網野善彦著作集 第6巻』にも所収 - 『谷中村滅亡史』荒畑寒村/岩波文庫
田中正造に依頼され、鉱毒による谷中村の滅亡を怒りをこめて告発 - 『逆転 アメリカ支配下・沖縄の陪審裁判』伊佐千尋/岩波現代文庫
米国支配下の沖縄で陪審裁判はいかに行われたか - 『城下の人 石光真清の手記』石光真清/中公文庫
『曠野の花 石光真清の手記』
『望郷の歌 石光真清の手記』
『誰のために 石光真清の手記』
石光真清の対ロシア諜報記録。明治人の気概が全編に宿る - 『苦海浄土 わが水俣病』石牟礼道子/講談社文庫
水俣病を全世界に知らしめた記念碑的傑作 - 『自民党戦国史』(上中下)伊藤昌哉/朝日文庫
権力が権力として存在していた時代の自民党暗闘劇のすさまじさ - 『霊柩車の誕生』(新版)井上章一/朝日文庫(朝日選書)
なぜあのグロテスクな車は誕生したのか。目から鱗の連続である - 『明治精神史』色川大吉/岩波現代文庫
草莽の士の精神を描いた日本民衆史の草分け的名著。初版は64年黄河書房 - 『世界屠畜紀行』内澤旬子/角川文庫(解放出版社)
世界中の屠殺現場を訪ね歩いた前代未聞のルポ。イラストも出色 - 『チャーズ 中国革命戦をくぐり抜けた日本人少女』遠藤誉/朝日新聞出版(文春文庫 上下)
満州崩壊後、中国東北部で起きた地獄絵図を活写 - 『説得 エホバの証人と輸血拒否事件』大泉実成/講談社文庫
エホバの証人の輸血拒否事件を通して現代における宗教とは何かを問う - 『自叙伝・日本脱出記』大杉栄/飛鳥井雅道・校訂/岩波文庫
奔放な精神で時代を駆け抜けた無政府主義者の魂の遍歴。04年第三書館『愛蔵版 ザ・大杉栄』にも所収 - 『未完の旅路』(新版・全6巻)大塚有章/三一新書
大森銀行ギャング事件に連座した日本共産党員の数奇な人生 - 『〈日本人〉の境界』小熊英二/新曜社
アイヌ人、琉球人の日本同化政策を通じて日本人の輪郭線を描く - 『〈民主〉と〈愛国〉』小熊英二/新曜社
日本の戦後民主主義はいかに定着したか。戦後思想史を通覧 - 『ずばり東京 開高健ルポルタージュ選集』開高健/光文社文庫
粟立つような喧噪に包まれた高度経済成長期の東京ルポ - 『マレー蘭印紀行』金子光晴/中公文庫
東南アジアを流浪する詩人の魂の遍歴。自然描写の圧倒的な官能 - 『自動車絶望工場 ある季節工の日記』鎌田慧/講談社文庫
鎌田慧の潜入ルボ。派遣切りの横行するいまこそ、再読する価値がある - 『暗黒日記』(全3巻)清沢洌/橋川文三・編/ちくま学芸文庫
太平洋戦争中に書き続けられた外交評論家の日記。リベラリズムの頂点 - 『大森界隈職人往来』小関智弘/岩波現代文庫
町工場の密集する町に生きる人びとを哀歓をこめてスケッチ - 『この三十年の日本人』児玉隆也/新潮文庫
若くして死んだ児玉隆也のルポ。「淋しき越山会の女王」を収録 - 『国家の罠』佐藤優/新潮文庫
鈴木宗男事件の検察捜査はいかに行われたかを、生々しく記録 - 『テロルの決算』(新装版)沢木耕太郎/文春文庫
日本社会党委員長・浅沼稲次郎を刺殺した山口二矢の内面に肉薄 - 『街道をゆく』(全43巻)司馬遼太郎/朝日文芸文庫
強靭な歴史意識に裏打ちされた司馬版“私の日本地図”。十津川街道は必読。新装版(朝日文庫)も刊行中 - 『私の昭和史』(上下)末松太平/中公文庫(みすず書房)
二・二六事件の思想的背景を知る上で欠かせない記録。三島由紀夫も絶賛 - 『海峡を越えたホームラン 祖国という名の異文化』関川夏央/双葉文庫
韓国プロ野球に身を投じた在日韓国人群像。日韓異文化論 - 『マッカーサーの二千日』(改版)袖井林二郎/中公文庫
オキュパイド・ジャパンの日々を米側資料を使って再現 - 『火花 北条民雄の生涯』高山文彦/角川文庫
差別と病魔に苦しんだ北条民雄の生涯を人間存在の哀しさにまで遡って描破 - 『日本共産党の研究』(全3巻)立花隆/講談社文庫
立花隆の著作で一つ選ぶなら、これ以外にない - 『興信所』露木まさひろ/朝日文庫
興信所の調査員の目を通して見ると、都市生活者の相貌が歪んで見えてくる - 『ナマコの眼』鶴見良行/ちくま学芸文庫
ナマコの漁法から調理法まで網羅したナマコによるユニークな日本文化論 - 『労務者渡世』寺島珠雄/風媒社
大阪・釜ヶ崎の建場に暮らす都市最下層民の「どっこい、生きている」 - 『摘録 断腸亭日乗』(上下)永井荷風/磯田光一・編/岩波文庫
比類なき個人主義者・永井荷風は年月の足音をどう聞いたか - 『春風のなかの子ども』永井萠二/太平出版社
早稲田童話会出身の著者は「週刊朝日」のエース記者でもあった - 『北朝鮮に消えた友と私の物語』萩原遼/文春文庫
北朝鮮帰還運動で行方不明になった友人の探索行 - 『線路工手の唄が聞えた』橋本克彦/文春文庫
光の当たらない線路工手の喜びと悲しみを描いて秀逸 - 『大正天皇』原武史/朝日文庫(朝日選書)
遠メガネ事件など通説に満ちていた大正天皇の実像に迫った労作 - 『松川裁判』(上中下)広津和郎/中公文庫
広津和郎の執念が、松川事件の冤罪性を明らかにした。この強烈な散文精神。07年木鶏社より『新版 松川裁判』刊行 - 『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』辺見じゅん/文春文庫
シベリア収容所で落命した日本人。戦争の悲惨さが浮かび上がる - 『原発ジプシー』堀江邦夫/現代書館(講談社文庫)
各地の原発工場を渡り歩く季節労働者。原発を総体として描いた労作 - 『最暗黒の東京』松原岩五郎/講談社学術文庫(現代思潮社古典文庫)
明治の東京下層民生活実態ルポ。明治記録文学の傑作 - 『日本の黒い霧』(新装版・上下)松本清張/文春文庫
米占領下に起きた数々の怪事件の謎を追う。清張史観の集大成 - 『イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む』宮本常一/平凡社ライブラリーoffシリーズ
読みどころは宮本常一の的確な解説 - 『私の日本地図(1〜15) 宮本常一著作集別集』宮本常一/未来社
宮本常一の豊富な体験に裏打ちされた最良の日本列島ガイド。続刊中 - 『村岡伊平治自伝』村岡伊平治/今村昌平・企画/講談社文庫
国のためと称し、貧乏娘を平然と南方に売り飛ばす女街一代記。ピカレスクの味わい
目次 巻頭宣言・ノンフィクションの逆襲 ノンフィクションと教養【第1部】傑作・名作・記念碑・金字塔「100冊×10人」セレクション 加藤陽子×佐藤優×佐野眞一 広大で豊穣なる世界へ、ようこそ 総合ベスト10 加藤陽子の100冊/佐藤優の100冊/佐野眞一の100冊/岩瀬達哉の100冊/魚住昭の100冊/重松清の100冊/二宮清純の100冊/野村進の100冊/原武史の100冊/保阪正康の100冊 ノンフィクションと教養【第2部】 いとうせいこう×武田徹×重松清 ネット時代のノンフィクション その可能性と課題 佐藤優「現場報告記」 リアル書店・ネット書店・取り次ぎで何が起こっているか 八重洲ブックセンター/ジュンク堂書店/トーハン/三省堂書店/アマゾン ジャパン/丸善 体験的ノンフィクション論 アーサー・ビナード/麻木久仁子/雨宮処凛/飯尾潤/生島ヒロシ/いしかわじゅん/潮匡人/宇都宮健児/大城立裕/片山善博/児玉清/酒井順子/白石一文/鈴木邦男/竹内洋/武田徹/立川談四楼/為末大/長妻昭/中村うさぎ/夏原武/野口悠紀雄/福原義春/藤原帰一/堀尾正明/宗像紀夫/茂木健一郎/森毅/箭内昇/山折哲雄 ジャーナリズムは機能しているか 花田紀凱 新聞は「書かないこと」が多すぎる/田崎史郎 政治報道─活字がテレビに敗北した日/長谷川幸洋 新聞記者は「役所のポチ」になるなかれ/南丘喜八郎 商業主義に背を向けた「零細出版社」の挑戦/辰濃哲郎 かくして朝日新聞の牙は抜かれた メイキング・オブ『死刑執行』 青木理 『死刑執行 絞首台の現実』特別編 控訴を取り下げた死刑囚からの手紙 副島隆彦×佐藤優「暴走国家」
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 講談社
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