ダンテ『神曲』講義 - 平川祐弘

本書は平川氏が2007年4月から1年間、荻窪の読売文化センターで行なった社会人向けのレクチャーをまとめた講義録。月に二回、第二・第四土曜の一時半から三時まで、合計二十四回講義したものに「まえがき」を付した上で、本体の講義部分を二十五回に分けて整…

不合理だからすべてがうまくいく - ダン・アリエリー

第1章 高い報酬は逆効果 なぜ巨額のボーナスに効果があるとは限らないのか あなたは、まるまるとした幸せな、実験用ラットだ。ある日、あなたがわが家と呼んでいる心地よい箱から、手袋をはめた人間の手でそうっとつまみ出され、あまり居心地のよくない、別…

人間はガジェットではない - ジャロン・ラニアー

人間はガジェットではない (ハヤカワ新書juice)作者: ジャロンラニアー,井口耕二出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/12/16メディア: 新書購入: 4人 クリック: 462回この商品を含むブログ (36件) を見る第1部 人とは何か 第1章 人の欠落 第2章 自己放棄の…

KAGEROU - 齋藤智裕

何十万という人間がひしめきあって暮らすこの街で、誰もいない暗くて静かな〝寂しい場所〟を見つけるのは至難のワザだ。しかしヤスオが見つけたこの場所は奇跡的にその条件をほぼ完璧に満たしていた。 そこは三年ほど前に倒産して廃墟と化した古いデパートの…

なぜ、国際教養大学で人材は育つのか

なぜ、国際教養大学で人材は育つのか (祥伝社黄金文庫)作者: 中嶋嶺雄出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2010/12/09メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 76回この商品を含むブログ (20件) を見る秋田の地に“奇跡”が起きた! 就職率100%の理由を探る 英語力・教…

ランドラッシュ - NHK食料危機取材班

プロローグ 農地争奪(ランドラッシュ)時代の幕開け 自動小銃で守られる農地 それは、異様な光景だった。 旧ソビエト連邦・ウクライナ。世界一肥沃と言われる大地に恵まれながら、ソ連崩壊後の混乱で、広大な農地が放棄されている。 その農地をイギリス企業が…

Casa BRUTUS 2010年 12月号

Casa BRUTUS の今月号はコーヒー特集だ。アメリカのコーヒーブームのサードウェイブ(第3の波)について掘り下げている。 コーヒー店がたくさん掲載されている。Four Barrel Coffee や Blue Bottle Coffee や Sightglass Coffee だ。 ニューヨークで最も予…

体温を上げると健康になる 実践編 - 齋藤真嗣

70万部を超えるベストセラー本『体温を上げると健康になる』の続編である『同 実践編』が上梓された。『実践編』の冒頭は、新婚の女性が罹りやすい膀胱炎の原因が、実は低体温だった、という内容から始まる。内容を大きく分けて紹介すると、以下の通りだ。…

Fall of Giants - Ken Follett Tweet

『針の眼』(1978)や『大聖堂』(1989,2007)で有名な英国作家ケン・フォレット氏が、新刊 Fall of Giants を上梓した。この歴史小説は、新たに始まる「世紀」三部作の第一作だという。作中の登場人物は、アメリカ人、イングランド人、スコットランド人、フラン…

中国古典からの発想 - 加藤徹

ぱらぱらとめくるといろいろと自分の知らないことにでくわす本。それはたとえば、以下のようなこと。 「ローマの休日(Roman holiday)」は英語で「残酷な見せ物」の意 「灌腸」とは便秘のときにやるあの浣腸でもあるが、料理の名前(ブタの腸の中にに物を注…

完全なる証明 - マーシャ・ガッセン

ミレニアム会議 数はすべての人に魔法をかける。わけても数学者は、数に意味を吹き込むという行為の虜になりがちだ。それを思えば、二〇〇〇年という年に、世界的な数学者たちがパリに集まり、その会議を開いたのも不思議ではない。数学者たちはその会議が、…

雪冤 - 大門剛明

第29回「横溝正史ミステリ大賞」受賞作。 本作はタイトル通り「冤罪」を主眼としたミステリ小説だ。文章は拙いが、意欲と、訴えたいことだけは伝わってきた。テーマが大きいし、一応、最後まで読めた。魅力的なのは、イアン・ランキンや西村京太郎の小説と同…

インパラの朝 - 中村安希

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日作者: 中村安希出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/11/13メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 57回この商品を含むブログ (37件) を見る序章 向かう世界 第1章 ささやきを聴く—ヒマラヤ山系 第2章 カオス—東…

リング - 百田 尚樹

忘れられない光景がある。 テレビの前で父と父の友人がわけのわからない声を上げている。ふだんは物静かな二人が怒鳴り声を上げている。異様に興奮した二人の様子が怖かった。白黒テレビの画面で繰り広げられているのはボクシングの試合だった。 テレビが我…

GRANTA 113

イギリスの雑誌"GRANTA"の113号は、スペインの若手小説家特集。まず、スペイン語版('Los mejores narradores jovenes en español')が出版され、その後、英語版が出版(11月25日)される。 作品が掲載される作家は以下の22名。 ANDRÉS BARBA (アンドレス・…

ハーバードの「世界を動かす授業」 ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方 - リチャード・ヴィートー

ハーバードの「世界を動かす授業」 ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方作者: リチャード・ヴィートー,仲條亮子出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2010/08/27メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 60回この商品を含むブログ (16件) を見る こ…

これからの「正義」の話をしよう - マイケル・サンデル

サンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』を読んでいたら、「訳者(鬼澤忍)の文章力は大丈夫か?」と思わざるを得ない箇所に出くわした。本書の冒頭で、サンデルは、アメリカを襲撃したハリケーン・チャーリーの被害について述べている。その第3…

カーネギー 心を動かす話し方―一瞬で人を惹きつける秘訣 - デール・カーネギー

話の四つの目的 話の目的とは、こうです。----話し手が意識していると、いないとにかかわらず、すべての話は、つぎの四つの主要目的のうちのどれかひとつを、かならず持っています。 行動をおこすように説得すること 知識や情報を提供すること 感銘を与え、…

THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 - マルコム・グラッドウェル

レビュープラス様から発売前のゲラ("はじめに" 〜 第3章)を頂きました。ありがとうございます。 マルコム・グラッドウェル著『マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想” (マルコム・グラッドウェ…

新・批評の事情 不良のための論壇案内 - 永江朗

1 この国のゆく道きた道 内田樹 / 時代は叔父さんを求めている 『「おじさん」的思考』内田樹 『ためらいの倫理学―戦争・性・物語 (角川文庫)』内田樹 『レヴィナスと愛の現象学』内田樹 『寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))』内田樹 『それってどうなの…

使える経済書100冊 - 池田信夫

第2章 世界経済危機をどう見るか 『ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質』ナシーム・ニコラス・タレブ 『ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質』 『市場の変相』モハメド・エラリアン 『資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす…

ぼくらの頭脳の鍛え方 - 立花隆 佐藤優

ブックリスト1 知的欲望に満ちた社会人へ 立花隆選 生命科学 『二重らせん』ジェームス・D・ワトソン 『細胞の分子生物学』ブルース・アルバーツ 『数値でみる生物学』R・フリント 『パワーズ オブ テン―宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅』P・モリソン…

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義 - ティナ・シーリグ

いま、手元に五ドルあります。二時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?これは、わたしがスタンフォード大学で実際に学生に出した課題です。クラスを一四チームに分け、各チームには、元手として五ドルの入った封筒を渡します。課題…

告白 - 湊かなえ

なぜこんな本が「このミステリーがすごい2008」の第1位になっているのだろう。全ては作家の頭のなかで考えられたお遊びにすぎない、としか思えない。この作品を映画化した中島哲也監督がインタビューで「とにかくおもしろかったですね」と言っているのが信…

Tinkers - Paul Harding

2010年ピューリッツァー賞フィクション部門の受賞作は Paul Harding の 『Tinkers』だった。Tinkers作者: Paul Harding出版社/メーカー: Bellevue Literary Pr発売日: 2009/01/01メディア: ペーパーバック購入: 3人 クリック: 11回この商品を含むブログ (4件)…

文系?理系? - 人生を豊かにするヒント - 志村史夫

二酸化炭素で地球が温暖化? いま、「周期的な太陽活動によって、地球は寒冷化したり、温暖化したりする」と述べましたが、ついでに、近年、すっかり「定着」してしまった感があります「二酸化炭素(CO2)の増加→地球温暖化」説について簡単に触れておき…

1Q84 BOOK3 - 村上春樹

あと2週間ほどで村上春樹の『1Q84 BOOK3』が発売される。1Q84 BOOK 3作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/04/16メディア: ハードカバー購入: 70人 クリック: 2,125回この商品を含むブログ (644件) を見る

「餃子の王将」決算書で儲けのポイントがサクッとわかる - 柴山政行

公認会計士の柴山政行氏が新刊『「餃子の王将」決算書で儲けのポイントがサクッとわかる』を書いた。著者のホームページによると、3月17日〜3月21日の間にアマゾンから本書を購入したひとに特典(3つの中から1つを選択)がプレゼントされるとのこと。 経済会…

The Last Train from Hiroshima - Charles Pellegrino

【ニューヨーク共同】21日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、広島への原爆投下について米作家が書いた新刊書に登場する元米軍人の証言の信ぴょう性に疑義が生じ、著者も修訂正を施す意向であると報じた。 同紙によると、大ヒット映画の「アバター」や「タ…

ロスト・シンボル - ダン・ブラウン

『ダ・ヴィンチ・コード』や『天使と悪魔』で多くの読者を魅了したダン・ブラウンの新作が、来たる3月3日(水)に発売される。待望のラングドン・シリーズ第3弾で、タイトルは原書のまま「ロスト・シンボル」。訳者は越前敏弥氏。ロスト・シンボル 上作者: ダ…