昨日、村上春樹の新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が発売されたので、読んだ。ネタバレがあるので、まだ読んでおらず、これから読む人はここから先は読まないほうがいい。主人公は鉄道会社に勤務する36歳の男(多崎つくる)だ。物語は、主…
国際IMPACダブリン文学賞のショートリストに村上春樹の『1Q84』がノミネートされた。穿ちすぎた見方かもしれないが、来たる12日に『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を刊行する村上春樹が勢いづいてきたかもしれない。ショートリストは以下のとお…
4月1日の産経新聞で紹介されていたバンドデシネ(bande dessinée)についてメモをしておく。 同紙によれば「バンドデシネというフランス語は「絵が描かれた帯」という意味で、日本語に意訳すると「続き漫画」となる」。 文化庁メディア芸術祭で海外作品とし…
美味しいコーヒーを飲んでいますか?コーヒーは煎りたて挽きたて淹れたてが美味しいと言われています。できれば近所の珈琲豆自家焙煎のお店で買って来た豆を自宅で挽き、ドリップやフレンチプレスでコーヒーを淹れるなり、モカポットやエスプレッソメーカー…
マーク・ピーターセン氏の『ニホン語、話せますか?』(2004)によれば、故・伊藤和夫『英文解釈教室』に出てくる訳文は、日本語として相当おかしいのだ。例えば、「1.1 例題(1)」の次の英文がある。 A sensitive and skilful handling of the language in …
マーク・ピーターセン氏は、著書『ニホン語、話せますか?』(2004)で、かの有名なリンカーンのゲティスバーグ演説の名文句「人民の、人民による、人民のための政治」に関して、故丸谷才一氏の意見に異議を唱えている。 「英語との比較」の話ではないが、最…
クリストファ・バーナード教授は著書『日本人が知らない英文法』(2005)の中で或る日本語表現のことを羨んでいる。英語にもこの表現があれば便利なのにな、と言うのだ。英語を学んだことのある日本語ネイティブなら、初めてこの表現に接したとき、「なんと…
マーク・マクニーリィ氏が Fast Company に寄稿した記事 ""The Princess Bride" And The Man In Black's Lessons In Competitive Strategy" は、鈴木博毅が『「超」入門 失敗の本質』で解説していた「戦略」に近い内容だ。この記事でマクニーリィ氏は、ビジ…
Clive Thompson 氏が Wired 誌に寄せた記事 "Clive Thompson on the Hidden Truth of Counterintuition" によれば、最近、「あなたの知っていることは全部間違っている」的な、反直感的な書籍が増えているという。具体的な例でいうと以下の通りだ。 ジョフ・…
本書で紹介された書籍及びウェブサイトを掲載しておく。 第1部 新しいオペレーティング・システム 第1章〈モチベーション2・0〉の盛衰 ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』(早川書房)--- 「人間というものは不合理なのである---しかもそれは予測できる…
本書で紹介された書籍及びウェブサイトを掲載しておく。 第1部 「ハイ・コンセプト(新しいことを考え出す人)」の時代 1.なぜ、「右脳タイプ」が成功を約束されるのか ベティ・エドワーズ『脳の右側で描け』(エルテ出版)--- 「描くというのは、実はそれほど…
『「超」入門 失敗の本質』が売れているようだ。この本は、かの名著『失敗の本質』(1984年刊)を読み解くための入門書という趣旨で書かれたものだ。読んでみると「入門」というだけあって分かりやすい解説が順を追ってなされているのが分かる。本書を読み終…
物乞いにだって、格差があります。 その格差はほんの些細なことから生まれます。 たとえば、この動画をご存じでしょうか? 路上で男が物乞いをしています。この日、あの出来事がなければ、男は昨日と同じ程度の恵みしかもらえなかったかも知れません。通りす…
「私は神学論議をするためにここにいるのではない! 戦争の話をしているのだ」 ライリー先生が言った。 私は応えた。 「いや、神の話なのです。徹頭徹尾、神の話なのです。人は神を必要とする。人は神を利用する。でなければ人など大量に殺せない。私の神は…
第1章 Persistence 粘り腰 街角に四人の男が立っている。アメリカ人、ロシア人、中国人、そしてイスラエル人。ひとりの記者がやって来て、この四人に聞いた。「すみません……肉の不足についてご意見を」。アメリカ人が答える、「不足って何ですか」。ロシア…
一、 荒木公平の人生は――人生というのがおおげさであるならば会社人生は――、辞書に捧げられてきたと言っても過言ではない。 荒木は幼いころから、言葉に興味があった。 たとえば、犬。そこにいるのに、いぬ。はは、おかしい。いまだったら女性社員から、「荒…
誤用、誤用と騒ぐのが好きなわけではないけれども、気付いたら気付いたと指摘していかないと、そもそも何が正しいのか分からなくなるので、念のため記す。 表紙にはタイトルも著者名もない。この手の古書はすべからくそういうスタイルなのだが、背表紙にタイ…
Yahoo!オークションの「Yahoo!オークション補償」という制度はご存じだろうか? この制度、オークションの詐欺被害者に対して金銭的補償を行うものだが、補償範囲が限定されている。つまり、被害にあったからといって何でも補償対象となる、というわけではな…
期待どおりの行動をしてもらえる効果的な叱り方 CAは、叱られることが仕事のひとつと言えるかもしれません。 ありがたいことに、航空会社のサービスに対してまだ期待してくださるお客様も多く、それを裏切ってしまったときのお叱りは相当なものです。 毎回…
第1章――逮捕 雨上がり(二〇〇二年十一月十三日) 気がつくと夜中の二時になっていた。 安ワインは二本目が空だ。アメリカに来てからというもの、ワインが安いので量が増えてしまった。飲みはじめたときにはまだ大雨だったけど、いつの間にかやんで月が出て…
だれだって、後からだったら、何だって言える。革新というのは簡単そうに見えるものなんだ、後から見ればね。 マックスは少し考える時間をくれたが、また話を続けた。 「実際にあった話をしてあげよう。それを聞いたら、僕の言わんとしていることがわかると…
最近になってコルヌコピアンの議論に新たな命を吹き込んだのが、デンマークの政治学者ビョルン・ロンボルグだ。ロンボルグの本は、『ウォールストリート・ジャーナル』、『ニューヨーク・タイムズ』、『エコノミスト』、『ロサンゼルス・タイム』、『ボスト…
アマゾンが期間限定で書籍のポイント還元を実施するそうです(6/11-7/8)。対象となるのは「2012年上半期ランキング」(集計期間: 2011年12月1日〜2012年5月31日)にランクインした書籍。7%ポイント還元で購入できるそうです。役に立たない情報は鬱陶しいだ…
電子書籍販売サイト『ebookjapan』で徳富蘇峰の『近世日本国民史』全50巻が購入できるようになったようです。 この本は、かの渡部昇一氏が日本史研究者必携の書として『知的生活の方法』の中で推薦していたものです。大正時代から昭和初期にかけて書かれた本…
ルソーって誰のことだろう。わたしは知らなかったのです。けれど祝宴があってみんながそれに行ってわたしたちも招ばれてるとあれば、ルソーが誰だってそんなこと構ったことはありません。ガートルード・スタイン「アリス・B・トクラスの自伝」 第一章 パン…
起業、社会貢献...、各界で活躍する平成生まれ30人 山本泰大(たお)[twitter:@Twai](Synclogue創業者,CEO)Synclogue(シンクローグ)はPCアプリケーションの同期化ソフト。マイクロソフトの「Windows8」発売に合わせて正式リリースする予定 鈴木仁士(さ…
1 犬に甘いニュートン Just as the destruction by fire of his papers was complete, Newton opened the chamber door, and perceived that the labours of twenty years were reduced to a heap of ashes. There stood little Diamond, the author of all …
『英語教育 2012年 04月号 [雑誌]』の連載「アングロ・サクソン文明落穂集」で、渡部昇一氏が紹介していたレトリックの本。18種類のレトリックが実例(リンカーン、チャーチル、ディケンズ、メルヴィル、エドマンド・バーク、トマス・ペインなど)とともに説…
暗記中心型の日本の教育に嫌気がさし、高2で学校を中退するや、渡米してボーディングスクールに入学、その後リベラルアーツ・カレッジ、ハーバード・ビジネススクールへと進学し、最終的に米国で就職した女性によるアメリカ教育体験記。書名の「白熱教室」は…
カメール・ダロン・アセモグル(Kamer Daron Acemoglu)とジェームズ・ロビンソン(James Robinson)の共著 Why Nations Fail が3月20日に発売される。特設ブログも開設されていて、記事が興味深い。果たして、日本語訳版は出版されるだろうか。 Why Nations…